アジア人はしたたか。オバマ大統領アジア歴訪のウラでイランとの積極外交が展開中
再選が決まったオバマ大統領が早速動き始めた。アジア重視の姿勢を強調するオバマ大統領は11月17からタイ、ミャンマー、カンボジアを訪問する。
米大統領のミャンマー訪問は史上初めて。テインセイン大統領や、民主化運動指導者で最大野党・国民民主連盟の党首であるアウンサンスーチー氏と会談する予定。その後、カンボジアでは首都プノンペンで開催される東アジアサミットに出席する。
日本のメディアは「オバマ大統領はアジア重視の姿勢」「米国のアジア外交に乗り遅れるな」といったいつものお気楽なトーンでの報道が目立つ。
日本人は中国と韓国以外の国をアジアとしてひとくくりに論じる傾向があるが、それは大変危険だ。同じタイミングではまったく別の動きも見られる。
米国がもっとも敵視している国のひとつであるイランのアフマディネジャド大統領が、現在アジア各国を歴訪中なのだ。アフマディネジャド大統領は9日、インドネシアのバリ島で行われた第5回「バリ民主主義フォーラム」に出席した後、ベトナムを訪問、チュオン・タン・サン国家主席らと相次いで会談した。
ベトナムとイランは1973年から国交を結んでおり、ベトナムの国営石油会社ペトロベトナムはイランの油田開発プロジェクト(投資額1億1500万ドル)について同国と協力関係にある。
米国のイラン制裁が強まる中、エネルギー需要が著しいアジア各国がイランに積極的に投資している構図が透けて見える。
日本政府は東アジアサミットの会場で何とかオバマ大統領と首脳会談ができるよう調整中だという。だが政治混乱が続き、政権末期となっている日本の要人がオバマ大統領と会ったところで、先方が重要な話をするわけがない。
日本はアジアに対してどのようなスタンスで接していくのか明確にしていない。アジア各国は帝国主義的な姿勢を強める中国を警戒しつつも、米国に対して必ずしも協力的とは限らない。ましてや大戦中の苦い経験を持つ日本に対してはなおさらである。列強からの侵略の歴史であった彼らは想像以上にしたたかである。
日本は、かつてのような圧倒的な経済力を持った国とはみなされていない。自身のアジア戦略を明確にできなければ、日本は米国はおろか、アジア各国からまともに相手にされなくなるだろう。
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