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原油価格の大幅下落で試される、アベノミクスと量的緩和策

 

 原油価格の下落がさらに進んでいる。ニューヨークの原油先物価格は2014年11月4日、およそ3年ぶりとなる77ドル台まで下落した。世界経済の減速懸念に加え、サウジアラビアが原油価格を引き下げたことが大きく影響した。原油価格の下落は世界経済にとってマイナスの影響が大きいが、米国と日本にとってはプラスの効果の方が大きくなる可能性が高い。だがそれは、アベノミクスの本質が試される局面であるともいえる。

 beikokuoil 原油価格はこのところ、110ドルと90ドルの間を行ったり来たりしていた。さらに長期で見れば、110ドルと80ドルの間で上下しており、振幅は縮小傾向にあった。テクニカル指標の用語で言えば三角持持ち合いの状態が続いてきたことになる。だが10月に入ってその均衡が崩れた。90ドルを割った原油価格は一気に80ドルとなり、10月後半には80ドルを割る事態となった。

 背景にあるのは、世界経済の減速懸念である。IMFなどの国際機関は相次いで世界経済の成長見通しを引き下げており、原油は供給過剰が意識され価格下落が進んでいる。
 米国はシェールガス革命によって、石油の消費国から産油国への転換が進んでおり、長期的にみても原油は生産過剰な状況にある。さらに産油国が大幅な減産に踏み切らないため、今のところ価格の上昇要因がみあたらない状況だ。

 今回の価格下落は世界経済の成長鈍化を背景にしたものであり、原油価格の下落は資源国の経済を直撃するので、全体としてはマイナスの影響が大きい。だが米国と日本については、そうはならない可能性が高い。

 米国は今のところ世界経済の減速見通しにおける唯一の例外となっている。米国は個人消費が強く、世界経済原則を受けにくい構造となっている。また米国人は世界でもっとも大量に石油を消費している。原油価格の下落は、米国人の可処分所得の増加につながるので、消費は拡大する可能性が高い。
 一方、日本はこのところの円安で輸入物価の上昇に悩まされている。ここ数年の貿易赤字の拡大は、原発停止が原因といわれているが実際はそうではない。日本は基本的に節電で対処しており、エネルギーの輸入量はそれほど増えていない。貿易赤字に大きな影響を与えたのは原油価格をはじめとするエネルギー価格の上昇であった。

 だがここで原油価格が大幅に下がることになると、時間差はあるものの、価格の抑制効果が出てくる。日銀の量的緩和策の目下最大の弊害が輸入物価の上昇であるならば、原油価格の下落は日本経済にとってプラスとなるはずだ。
 だが、量的緩和策発動後の物価上昇は、持続的な経済の拡大ではなく、輸入物価の上昇のみに依存してきたという側面も否定できない。原油価格の下落を生産や消費の拡大にうまく結びつけられなければ、今度は再びデフレ脱却ができなくなるというジレンマに陥る可能性もある。ここに対処するのが本来の成長戦略なはずだが、現状はどうだろうか?

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