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トヨタの絶好調決算から学ぶ、円安がもたらすメリットとデメリット

 

 トヨタ自動車は2014年11月5日、2014年9月中間決算を発表し、2015年3月期の通期決算において、純利益が2兆を突破する見通しを明らかにした。円安の進展によっては、さらに業績が上振れする可能性もある。

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 トヨタの中間決算は、売上高が約13兆円、営業利益が約1兆3000億円と増収増益であった。国内市場やアジア市場では苦戦しており、減収減益だが、経済が好調な北米市場と円安に支えられ、好決算となった。同社では通期の純利益が2兆円を超える見通しを示しているが、もし実現すれば、まさに前人未踏の業績ということになる。

 このところ日本では円安が急速に進んだことから、円安のデメリットが盛んに議論されるようになってきた。つい最近まで円高が諸悪の根源といわれていたことを考えると、まさに状況は180度変わったといってよい。
 円安待望論が盛んだった時期には、円安になれば、日本の輸出が増加して景気が回復すると信じられていた。しかし現実には、輸出金額は増えたものの、輸出数量はほとんど増えず、思ったような効果は得られていない。だが、円安が進んだからといって輸出数量が増えないのは、現在の製造業の事業構造を考えれば当たり前の話である。トヨタはこうした状況を理解する非常によいお手本といえる。

 この半期のトヨタの生産台数は約450万台だが、半分以上の240万台が海外で生産されている。販売台数に至っては約8割が海外となっている。半分以上を海外で作り、8割を海外に売るのが現在のトヨタのビジネス・モデルである。もっと分かりやすくいえば、経済が絶好調で今後も人口の伸びが期待できる米国で稼ぐのが当面の戦略ということである。

 トヨタでは、為替が変動するたびに生産体制を変更する予定はないとしている。事業は市場あってのものであり、為替が変動するたびに、生産体制や販売体制を変えていては、顧客に対して十分な対応ができなくなる。
 またトヨタの製品は、付加価値が高く、値下げしたからといって大量に売れるというものではない。これは逆も成立する話で、円高になったからといって一方的に値上げなどを行えば顧客からの信頼は低下する。日本企業は円安になっても現地の販売価格を引き下げていないが、これもビジネスの現場感覚では当たり前の話なのである。

 トヨタが好決算なのは、顧客が望む製品をもっとも最適な形で提供できたことによるものである。為替で業績が上振れするのは、リソースの最適配分の結果、海外比率が高まった結果にすぎない。

 日本企業は、代替可能な低付加価値の製品を作っているわけではない。通貨安で値引きが可能となり、輸出数量が大幅に増えるというのは、中国や韓国などの話である。トヨタが好決算でも、成熟国家である日本では、国内の産業や雇用への影響は限定的となる。輸出数量が増えて国内産業が活発になるという途上国的な発想ではなく、海外から投資収益の増加など、もっと大局的に円安のメリットについて議論するべきだろう。

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