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地方創生骨子案。出生率1.8を目標にするも、これでは人口維持は困難

 

 政府は2014年11月6日、「まち・ひと・しごと創生本部」の有識者会議を開き、人口減少対策の長期ビジョンの骨子をまとめた。50年後に1億人の人口を維持することを目標とし、現在1.4程度しかない出生率を1.8程度に上昇させる。ただ出生率1.8では1億人の人口維持は不可能であり、現実とのギャップは埋まっていない。

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 骨子では、一旦人口が減少局面に入ると、減少スピードは加速度的に高まっていくと指摘、このままでは、2060年の総人口は8674万人まで落ち込み、2110年には5000万人を切るとしている。
 また、人口減少の状況は、地域によって大きく異なっており、東京ではまだ老年人口が増加している段階だが、地方では若年人口に加え老年人口の減少も始まっているとしている。対策を講じるためには、地域ごとの違いも考慮に入れる必要がある。

 骨子では、50年後に1億人の人口を維持することを目標にしており、現在1.4程度にとどまっている出生率について、まずは1.8程度まで高める必要があるとしている。ただ、実際に50年後に1億人の人口を維持するためには、2.0程度まで出生率を上げる必要がある。骨子ではこのギャップに関する、具体的な対策は提示されていない。

 また骨子では、人口減少に伴う首都圏などへの人口集中に歯止めをかける必要があるとしている。だが、人口減少社会において都市部に人口が集中するのは、ある意味で自然の流れであり、それを人為的に逆行させることが全体的なメリットになるのか疑問視する声もある。
 さらにいえば、不可能な目標を掲げるよりも、人口減少を前提に、生産性を向上させるプランを策定することの方が重要という意見もある。ただ、これには産業構造の抜本的な改革が必要であり、大きな痛みを伴うことになる。国民の賛同は得られない可能性が高い。

 結局のところ、目標値は掲げたものの、現状の対策では目標値を実現できないという、矛盾するプランに落ち着く形になった。だが、まずは具体的な案を出すことが先決であるのも事実だ。このプランをたたき台に、より現実的な方策について国民的な議論を深めていくしか方法はないだろう。

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