ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

浪費時代に逆戻り?原油価格の下落で変わる米国の消費市場

 

 省エネ志向から小型車に人気が集まっていた米国の自動車市場に異変が起きている。燃費が悪いとして敬遠されてきた大型車種の人気が復活しているのだ。

gasstation

 10月の米国における新車販売台数は前年同月比6.1%増の128万1313台となり、10年ぶりの高水準を記録した。原油価格の低下でガソリン価格が大幅に下がったことが主な要因で、特にSUV(多目的スポーツ車)の販売が好調だという。
 また、車体が大きく、燃費が悪いという、よい意味でも悪い意味でも、かつての米国車を象徴する車であったハマーH1が中古市場で再び人気となっている(同車は2006年に生産中止)。

 米国は世界でもっとも石油を消費する国であり、原油価格と経済の連動性が強い。市場では「原油価格が1ドル下がると、個人所得が1%増える」と言われているくらいだ。
 リーマンショック前後は、新興国による需要の爆発的な増大から石油の枯渇が心配され、原油価格は1バレルあたり140ドルまで上昇していた。だが最近では、世界経済の減速傾向から原油価格は一気に下落しており、現在では70ドル台となっている。

 この背景にあるのは、米国のシェールガス革命である。米国では安価なシェールガスの開発が進んだことで、近い将来、すべてのエネルギーを自給できる見通しとなった。世界最大のエネルギー消費国が、完全自給できることの意味は大きい。ここに世界経済の減速という要因が重なったため、価格下落が一気に加速したのである。

 サウジアラビアなど中東の産油国は、米国のシェールガスに対抗するため、減産ではなく、価格勝負に出ようとしている。低価格競争に巻き込まれるシェールガス関連企業は大変だろうが、ほとんどの米国企業や消費者にとっては大歓迎という図式だ。

 当分の間、原油価格低迷は続くというのが市場関係者の大方の見方である。そうなってくると、米国の消費市場の様子もだいぶ変わってくることになるかもしれない。派手な大量消費を謳歌する、かつてのような風潮にまでは戻らないだろうが、エコロジー的な視点の商品は思いのほか伸び悩むことになるかもしれない。大型車の販売が好調なことはその一例といえる。

 世界最大の消費市場のひとつである米国の嗜好が変化するということになると、米国に製品を輸出する日本や中国、韓国などの戦略も変わってくる可能性がある。原油価格の大幅下落は、企業のビジネス・モデルにも今後、じわじわと影響を与えることになるかもしれない。

 日本では米国の過剰消費に対して批判的な意見が多い。だが、リーマンショック前の米国バブル経済の恩恵をもっとも受けていたのは日本である。
 国内の製造業が米国の消費に依存するという基本的な図式は今も変わっていない。米国が再び大量消費時代に回帰した場合、最も得をする国のひとつが日本であることはほぼ間違いない。

 - 経済 , , ,

  関連記事

businessman02
生活が低下したと答えた人は増加しているが、長期的には変化なし

 内閣府は2014年8月25日、国民生活に関する世論調査の結果を発表した。「生活 …

oilpump
米国がエネルギーの完全自給が可能に。世界的な安全保障の枠組みに変化の可能性

 国際エネルギー機関(IEA)は12日、米国が近い将来、世界最大のエネルギー産出 …

goodyeardunrop
フランスの隣接する2つのタイヤ工場の明暗を分けたものは、長時間労働の受け入れだった

 フランス北部アミアンにある2つのタイヤ工場をめぐって、ちょっと変わった事態が発 …

euhonbu
EUが太陽光パネルのダンピングで中国と和解。大きな混乱はない模様

 中国製の太陽光パネルが不当に安く販売されているとして、欧州連合(EU)が反ダン …

pepper
ソフトバンクがロボットを他社に先んじて製品化した本当の狙い

 ソフトバンクモバイルは2014年6月、人と対話することができるロボット「Pep …

redbull
超音速ダイビングを主導したレッドブル社。最終的な狙いは宇宙ビジネス?

 オーストリア人のスカイダイバーであるフェリックス・バウムガルトナーさんが14日 …

imf201407
IMFの世界経済見通し。機関車役だった米国の失速で、多くの国が下方修正

 IMF(国際通貨基金)は2014年7月24日、世界経済見通しの改定値を発表した …

orand78%
大連立構想は国力衰退の象徴?ギリギリで大連立を回避した日本はまだマトモかもしれない

 総選挙における自民党の大勝利で立ち消えになったが、民主党政権末期には大連立構想 …

bitcoin
米英でビットコインを通貨として容認する動き。実現すれば両国に多額の資金が転がり込む

 ビットコインを通貨として容認する動きが米英で活発になってきた。日本は早々にビッ …

usakoyoutoukei201606
米雇用統計はポジティブサプライズ。米株は意外にしぶとい可能性も

 米労働省は2016年7月8日、6月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …