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米国がエネルギーの完全自給が可能に。世界的な安全保障の枠組みに変化の可能性

 

 国際エネルギー機関(IEA)は12日、米国が近い将来、世界最大のエネルギー産出国になる見通しだと発表した。
 同機関が作成した 「世界エネルギー見通し」によると、シェールガス(地下の岩盤から取り出す石油ガス)の開発が進展することによって米国が2020年半ば頃までに世界最大の石油生産国となる見通しだという。米国は世界最大のエネルギー消費国であり、現在全体の20%を輸入しているが、ほぼすべてのエネルギーを自給自足できることになる。

 米国が石油を完全に自給できるようになることの意味は大きい。米国が覇権国家として強大な軍事力を維持してきたのは以下の二つの理由からだ。

 ①石油の安定的な供給源を確保するため
 ②米国企業が世界の主導権を握る石油産業を通じて世界に影響力を行使するため

 米国がエネルギーを完全自給できるとなると、①の理由は必要なくなる。イラク戦争はイラクの石油資源を確保する目的があったといわれているが、②だけの理由ならばあれだけの戦争を起こすメリットは少なくなってしまう。

 オバマ大統領が再選されたことで、米国の軍事費削減と世界の警察官からの「撤退」はさらに加速すると考えられる。ここで石油の自給が可能になれば、この動きに弾みをつけるだろう。

 日本の石油自給はほぼゼロであり、すべてを海外からの輸入に頼っている。軍隊を持たずに石油の安定供給を確保するというのは本来不可能なことだが、米国の石油政策や安全保障政策と相乗りすることでこれを実現してきた。日米安保体制が維持できたのも米国の石油政策によるところが大きい。
 だが米国が石油を自給できてしまうと、日本と安全保障条約を結んでおくメリットはさらに減少する。すでに日米安保体制は崩壊しつつあるが、米国の石油自給はこれをさらに加速させる可能性がある。

 今の米国を見ていると信じられないかもしれないが、以前の米国は「引きこもり政策」を実施していた。1823年当時のモンロー大統領はモンロー宣言を発表し、欧州(外国)の問題には一切関与しない代わりに欧州からの不干渉を求めた。米国がこの国是を180度転換させたのは、太平洋戦争における日本からの真珠湾攻撃であった。
 米国が突如、国際政治の安定化におけるリーダーシップを放棄する可能性は十分あり得るのだ。米国が中東からアジアへ政治的関心をシフトさせているのは、その兆候かもしれない。

 シェールガスの増産は石油の枯渇という問題にとっては朗報だが、いずれにせよすべてのエネルギーを輸入しなければならない日本にとって、米国が自給可能になるというのは悪いニュースでしかない。

 - 政治, 経済

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