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消費増税延期で衆院解散へ。量的緩和策で当面不安はないが・・・

 

 安倍首相は衆議院の解散と来年10月に予定されている消費増税の延期を決断した。増税延期で財政再建は遠のくが、当面、大きな影響は生じない可能性が高い。

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 安倍首相は当初、消費増税の延期について国民に信を問うというシナリオを考えていたが、17日に発表された7~9月期のGDPがあまりに悪い数値だったことから、状況が変わってきた。結果論だが、アベノミクスの状況そのものを問う解散となりそうだ。
 公明党が軽減税率の導入を強く求めていることもあり、軽減税率の導入を掲げ、増税の実施を2017年4月まで遅らせるとの見方が有力である。それまでの期間は、景気対策を実施し、景気の底上げを図る。

 今のところ与党が大敗する可能性は低く、選挙後、安倍内閣は長期政権に一歩近づくことになる。このため、基本的なアベノミクスの路線は堅持される可能性が高い。だが、増税を先送りにした場合、真っ先に懸念されるのは、やはり財政健全化の遅れである。
 日本政府は2020年までに基礎的財政収支を黒字にするという公約を掲げている。消費税を10%に増税してもその達成はかなり難しいといわれているが、増税を先送りしてしまうと、実現の可能性はさらに遠のくことになる。

 これはあくまで国際公約にすぎず、達成できなかったからといって、ただちに日本の財政が危機的状況に陥るわけではない。財政再建派が懸念しているのは、財政収支そのものよりも金利動向である。日本の財政に対する信任が徐々に低下し、金利が上昇することを警戒しているのだ。

 現在、政府の国債発行残高は870兆円程度だが、政府利払いが10兆円程度で済んでいるのは、超低金利が継続しているからである。もし国債の金利が数%に上昇してしまえば、現在の税収を利払いが上回ってしまい、予算を組むことができなくなってしまう。
 もっとも、金利に関しても、当面、大きな問題は発生しない可能性が高い。日銀による追加緩和で、日銀が大量の長期国債を買ってくれるからだ。よほどのことがない限り、金利がすぐに上昇することはないだろう。

 消費増税を延期したからといって、すぐに何らかの悪影響が出るとは考えにくい。ただ、こうした措置はすべて、問題の先送りに過ぎないというのも事実である。
 いずれ金利が上昇し、強制的な歳出削減に追い込まれるか、あるいは同様の問題を抱えたまま、相次ぐ増税によって何とか状況を維持するのかのどちらかとなる。こうした事態を避けるには、今度めざましい経済成長を実現し、税収を増やして財政再建を成し遂げることだが、現時点での見通しは暗い。

 とりあえず、今回の解散と消費税スキップによって、財政再建問題の時間軸が少し後ろにズレたことだけは間違いないだろう。

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