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増配など株主還元策が顕著に。背景には円安と公的年金改革が

 

 企業が得た利益を株主に還元する動きが顕著になってきている。企業における資本効率改善に対する意識が高まってきていることが直接の要因だが、背景には円安と公的年金の株式シフトがある。

 tosho02 2014年11月21日、カシオが来期の配当を大幅に増やすとの報道があった。同社は正式発表ではないとしたものの、増配を検討していること自体は認めた。
 同社の2014年3月期決算における配当は25円の配当を行ったが、来期はこれを30円に引き上げることが検討されている。同社の発行済み株式数は約2億7000万株なので、実際に30円に増配されれば、来期の配当総額は80億円を超えることになる。

  同社は今期、120億円を超える自社株買いを実施しており、これを合わせると株主還元額は200億円を超える。来期の同社の純利益見通しが230億円であることを考えると、非常に大胆な株主還元策であることが分かる。

 日本企業はこれまで、株式の持ち合いなどに代表されるように、株主に対する利益還元の意識が薄かった。これは過去何度も指摘されてきたことだが、従業員から持ち上がりで取締役に就任するサラリーマン経営者が主体の日本企業では、株主還元策に焦点が当たることはほとんどなかった。

 カシオ以外でも配当や自社株買いを強化する会社は増えているが、そのきっかけのひとつになっているのが、一気に進んだ円安である。
 日本は国内市場が縮小しており、企業は海外に活路を求める以外に選択肢がなくなりつつある。円安による輸入物価の上昇で苦境に立たされる企業がある一方、グローバル展開ができている企業は業績も好調となっている。

 こうした企業は当然、海外投資家からの注目度も高く、企業側もグローバルな投資家を意識するようになる。グローバルな投資家は当然、高い資本効率を求めるので、企業側もそれに応じた経営を行うようになる。

 この動きをさらに後押ししているのが、日本の公的年金改革である。年金財政の逼迫から、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は今後、企業に対して高いROE(株主資本利益率)を求めていく方針を明らかにしている。

 今後は、こうした投資家の目線を意識した経営を行う企業と、そうでない企業の株価が二極分化する可能性が高くなってきた。世界に遅れること20年、追い込まれての決断ではあるが、日本の株式市場がようやく動き出したのかもしれない。

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