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フランシスコ法王が欧州議会で演説。EUの官僚主義的な体制を痛烈に批判

 

 カトリック教会のフランシスコ法王は2014年11月25日、欧州議会で演説をおこない、「今の欧州は老けてやつれている」と述べ、欧州の現状について懸念を表明した。また「EUはあまりにも官僚主義的になっている」とも述べ、公務員の権限が肥大化し機能不全に陥っている現状にについて批判した。

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 演説で法王は「欧州に希望と激励のメッセージを伝えたい」と述べ、欧州統一の理念を賞賛した。しかし、その後はかなり手厳しい内容が続く形となった。実際、EUは現在、経済的にも社会的にも難しい状況にある。

 欧州はインフレ率の低下に悩まされており、一部ではデフレの懸念も出始めている。これまでは、スペインやギリシャといった南欧諸国の低迷をドイツが支える構図だったが、頼みの綱だったドイツの成長にも懸念が出始めている。IMF(国際通貨基金)によると2014年のユーロ圏における経済成長見通しはわずかプラス0.8%となっている。

 最近では経済問題に加えて、移民問題が大きくクローズアップされるようになっている。今年の5月に行われた欧州議会選挙では、英国でちょっとした騒動が発生した。EUからの離脱を唱える英国独立党が大躍進し、連立与党の保守党と自由民主党が大幅に議席を減らしたのである。フランスでも極右政党が議席を伸ばす結果となった。EU懐疑派は移民の数を制限するよう求めており、英国のキャメロン首相はEUとの間で板挟みの状態となっている。

 移動の自由はEUの根幹をなす基本原理であるだけに、もし移民を制限するという動きが欧州全体に拡大した場合、EUの存在意義そのものが問われる事態となりかねない。ドイツのメルケル首相はEUの基本原理は譲らない方針を示しているが、キャメロン首相も簡単には引き下がれない状況だ。

 全体としてみれば、本気でEUを解体する必要があると考えている欧州人はそれほど多くないと考えられる。だがEU本部の公務員が絶大な権限を持ち、地域の経済や社会の実情を無視して威圧的に振る舞っているという印象を持つ人は少なくない。肥大化したEU組織が、反EU的な動きの大きな要因になっていることは否定できないだろう。

 官僚組織の問題を指摘したフランシスコ法王の発言も、このあたりを念頭に置いていると思われる。ただEUが抱える現状に対する抜本的な解決策は見当たらないのが現実である。当分の間、欧州社会の混迷は続く可能性が高い。

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