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ムーディーズが日本国債を格下げ。だが日銀の大人買いで金利は動かず

 

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2014年12月1日、日本国債の格付けを1段階引き下げたと発表した。消費増税の先送りによって財政再建目標の達成が難しくなったことが主な理由だが、市場では日銀が大量に国債を買い占めており、金利にはほとんど影響していない。

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 新しい格付けは「A1」で、ひとつ上の「Aa3」から一段階の引き下げとなった。同社では、上から順に、Aaa、Aa1、Aa2、Aa3、A1、A2、A3、という項目で格付けを行っている。これまで日本は4番目の格付けであるAa3であった。今回はこれを1段階引き下げ、A1にするというものである。
 同社では2011年8月に、Aa2からAa3への引き下げを行っているが、安倍政権になってからは初めての引き下げである。これによって、日本の格付けは、中国や韓国を下回り、イスラエルなどと並ぶことになる。また、先進7カ国の中ではイタリアに次いで低い格付けとなった。

 同社は格下げの理由について、消費増税の先送りによって政府の財政再建目標の達成が難しくなったこと、成長戦略の有効性が疑問視されていることなどをあげている。

 日本政府は2020年までに基礎的財政収支の黒字化を国際公約にしている。この目標は消費税の10%への増税が前提条件となっていたが、それでも目標の達成は難しいといわれてきた。今回、消費増税が先送りになったことから、目標達成はさらに遠のいた可能性が高い。
 これに加えてムーディーズでは、成長戦略がうまく機能しない可能性を懸念しているようである。その結果、税収が増えず、財政再建を達成できず、国債に対する信認が低下するというメカニズムだ。

 確かにロジックとしてはそういうことになるのかもしれないが、現実の市場は日銀の追加緩和によって、国債が猛烈に買われている。格下げで価格が下落するどころか、さらに上昇する可能性も出てきている(金利は低下)。格下げによって金利が高騰する可能性は限りなくゼロに近いだろう。

 ムーディーズの懸念が現実化するのかどうかは、量的緩和策とアベノミクスの最終的な結果が判明する時期になれば、おのずとはっきりしてくるだろう。経済成長を実現し、税収が増えていれば、同社は格付けを戻す必要に迫られる。一方、両者が失敗だったと認識された場合には、痛みを伴う非常措置を発動しない限り、日本政府に国債の下落を防ぐ手立ては残されていない可能性が高い。

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