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原油の大幅安でも国内のガソリン価格がそれほど下がらない理由

 

 原油の大幅安が米国の消費を活気づけている。ガソリン価格の下落によって米国の新車販売は絶好調だが、日本では思ったほどガソリン価格は下がっておらず、原油安の恩恵を実感しにくい。その理由は日本におけるガソリンのコスト構造と円安にある。

 gasstation02 米国における11月の販売台数は前年同月比4.6%増の130万2043台となり、11月としては13年ぶりの高水準を記録した。新車販売が絶好調なのは、何と言ってもガソリン価格下落の効果が大きい。米国のガソリン価格は原油価格の下落によって、ここ3カ月で2割以上も安くなった。燃費の悪い大型車の購入をためらっていた層の消費意欲が刺激されたことで販売台数が伸びたと考えられる。

 原油価格は同じ期間で約25%安くなっているので、米国のガソリン価格はほぼ原油安をダイレクトに反映していることになる。だが日本の場合、このところガソリン価格は下がってはいるものの、原油価格ほどの値下がりにはなっていない。11月末時点におけるレギュラーガソリンの平均店頭価格は158円である。3カ月前は168円台だったので6%程度の下落にとどまっている。

 日本のガソリン価格が原油価格ほど値下がりしないのは、日本におけるガソリンのコスト構造にある。ガソリン価格のうち、原材料である原油が占める割合は4割程度しかない。残りの4割は揮発油税や関税といった税金、2割は精製コストなどで占められる。原油価格が大幅に下落しても、全体に与える影響は限定的だ。
 この状況に加えて、円安も大きく影響している。日本は原油のほとんどを輸入しているので、当然、円安になれば原油の調達価格は上昇する。このところの円安が、原油価格の下落を相殺してしまっているのだ。さらにいえば、国内の流通システムの複雑さもこれに拍車をかけている。石油の流通コストには地域差があり、卸価格決定には様々な要因が影響してくる。地域によってガソリン価格の値動きに差があるのはこのためである。

 米国は、GDPの7割が個人消費で占められており、消費動向が経済全体に大きな影響を及ぼす。原油安は石油業界にとってはマイナスだが、米国経済全体にはプラスとなる。新車販売台数の増加はその顕著な例である。
 だが日本の場合、コスト構造が異なるため、消費者が原油価格下落の恩恵を直接受けにくい。産業界におけるエネルギーコストの下落を通じて、間接的に消費者に恩恵が及ぶ仕組みになっているので、原油安の効果が顕在化するまでには時間がかかる。

 原油価格は長期的に下落が続くことが見込まれているが、一方で円安の進行も予想されている。今の経済情勢では、消費者が直接、原油安の恩恵を受けるのは難しいかもしれない。

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