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特定秘密保護法が施行。制度を健全に運用するためには、国会の強い関与が必要

 

 秘匿が必要な重要情報を保護する特定秘密保護法が2014年12月10日施行された。これに合わせて、特定秘密の指定が適切かどうかチェックする「独立公文書管理監」などが設置されるが、これらがどの程度、機能するのかは現時点では不透明だ。

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 特定秘密保護法は、安全保障分野を中心に秘匿が必要な情報を指定し、漏えいした公務員には最高で10年の懲役刑を課すというものである。また公務員だけでなく、漏えいをそそのかした者にも5年以下の懲役刑を科す内容となっている。この法律については国民の知る権利との兼ね合いについて議論となったが、昨年の12月に国会で成立した。

 日本には機密情報を一元管理するための法律がなく、スパイ天国とも呼ばれてきた。こうした状況が、米国など同盟国から秘密を条件に提供される情報の扱いに支障を来していたといわれる。法律の施行で、こうした状況には一定の歯止めがかかることになる。

 だがこの法律にはいろいろと問題も多い。政府では、どの情報を特定秘密の対象とするのかについて記した運用基準を用意している。特定秘密の対象となる情報はほとんどが衛星画像や暗号などで占められるとしており、むやみに情報が秘匿されることはないとのスタンスだ。
 だが、秘密対象とする基準があいまいであることや、最長で60年後まで公開されないなど、実質的にチェック機能が働きにくい仕組みとなっている。世界各国で諜報活動や軍事活動を行う米国ですら、機密扱いにする期間は25年が原則となっており、第三者による検証システムが設置されている。

 特定秘密保護法については、日本の機密情報の漏洩にばかり焦点が集まっているが、こうした法律の存在は、公務員の不正行為の隠蔽に利用される可能性もあることも十分に理解しておく必要がある。
 例えば、特定官庁の公務員が、中国など日本と利害関係があまり一致しない国に利益供与を行っても、特定秘密がカベになり、これを明らかにすることができなくなるという危険性がある。しかも、60年も経過した後では、当事者の多くは死亡している可能性が高く、その責任を追及することはほぼ不可能だろう。

 国会での議論は十分といえるものではなく、拙速に法律を通した印象は否めない。実際の運用状況を見ながら、情報公開制度の拡充について議論していく必要があるだろう。日本は議会制民主主義の国であることを考えれば、立法府である国会の関与を強めるための制度が求められるはずだ。

 - 政治

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