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CIAの拷問プログラムを開発した心理学者には100億円の報酬。米上院調査報告書

 

 米上院情報特別委員会は12月9日、米中央情報局(CIA)が同時多発テロ以降、テロ容疑者らに拷問を行っていた問題に関する報告書を公表した。残虐な内容に対して批判の声が高まっているが、こうしたプログラムを開発した心理学者2名に延べ8100万ドル(約96億円)もの報酬が支払われているという驚くべき実態も明らかになった。

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 上院はこの問題について約5年の歳月をかけて調査を行い、600万ページ以上のCIAの文書を入手し分析を行った。報告書は6000ページにもわたっており、要約だけでも500ページを超える膨大なもの。

 報告書には、睡眠を禁じる、水責め、手を鎖でつないで上からつるす、全裸でコンクリートの床に放置するなど、おぞましい拷問の実態が記されている。
 報告書ではこうした拷問によって具体的な成果は得られなかったとしており、成果があったとするCIAの主張と真っ向から対立している。一般的にごく一部の例外を除いて、拷問を用いた尋問で有益な情報が得られることはほとんどないといわれているが、議会の報告書はこれを裏付けた恰好だ。

 内容が内容だけに、拷問そのものに批判が集中しているのは当然のことなのだが、報告書をよく読むと、巨大組織が持つ負の側面に関する実態が浮き彫りになっている。

 拷問が行われた収容施設の監督は、経験のない若手に任されており、正式な訓練を受けていないCIA職員が監視役がいない状態で尋問を行うことも少なくなかったという。組織内で最初からトカゲのシッポ切りが想定されていたことをうかがわせる。

 またこうした非人道的な尋問プログラムを開発した心理学者2名には累計で8100万ドル(96億円)もの報酬が支払われていた実態も明らかにされた。CIAの資料に掲載されている心理学者の名前は偽名といわれており、米メディアは、本人と思われる人物を特定している。両名とも空軍出身で、退役後、CIAからこうしたプログラムの策定業務を請け負っている。

 米国では近年、軍の業務に関するアウトソーシングが急激な勢いで進んでいるといわれる。アフガニスタンやイラクなどにも、民間の軍事請負会社から派遣された兵員が多数存在する。
 今回は議会が権限をフル活用し、拷問の実態を明らかしたが、戦争の外注化が進んでいくと、こうした行為はますます国民から見えにくくなる。

 今回の報告書は、現代の戦争が持つ不透明性を象徴するものといえるだろう。一方、今回の上院における調査活動は、米国議会が持つ権限の大きさをあたらためて実感させた。議会の強力な調査権は、民主主義の最後の砦であるということがよく分かる。

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