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11月の貿易収支は円安と原油安の相乗効果で赤字幅縮小

 

 財務省は2014年12月17日、11月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8919億円の赤字となった。赤字は29カ月連続だが、前年同月比では赤字幅が31.5%縮小した。円安で輸出が増加したことや、原油価格の下落で輸入金額が減少したことが要因。

bouekitoukei 201411

 輸出額は6兆1889億円で前年同月比で4.9%増加した。電子部品や金属加工機械、二輪自動車の輸出が増えたことが寄与した。ただ電子部品などの輸出数量は前年とほとんど変わっておらず、輸出金額の増加は円安の影響が大きい。二輪自動車も台数の増加を、金額の増加が上回っており、円安による名目上の売上増であることが分かる。

 日本は付加価値の高い工業製品が多く、すでに一定のシェアを獲得している。このため、円安を利用して価格を引き下げたところで、販売数量が大きく伸びるわけではない。為替が変動しても現地通貨建ての販売価格は変わらず、為替の変動分だけ円建ての輸出金額が増えるという結果になる。

 円安によって輸出が増加する一方、輸入額は7兆807億円となり、前年同月比で1.7%の減少となった。11月までの1年間で原油価格は2割ほど下落している。原油の輸入量そのものが減ったこともあるが、円安であるにもかかわらず、原油価格の下落によって輸入額は22%ほど減少した。原油や天然ガスといったエネルギーは、全輸入の約3割を占めているので、原油価格の下落は、輸入金額の減少につながっている。

 このところ原油価格がさらに下落しており、来月以降もエネルギー輸入額の抑制につながってくる可能性が高い。最終的には円安との兼ね合いということなるが、円安が一定範囲で収まれば、貿易収支は改善していくことになる。
 ただ、原油価格の下落は、これまで輸入価格の高騰に支えられてきた国内の物価上昇を抑制する効果を持つ。安価にエネルギーを調達できることは、経済成長にとって基本的にプラスだが、日銀の物価目標の達成には逆風となるだろう。

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