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習近平氏がダメ押しで胡錦濤氏の側近を粛正。習氏への権力集中は完成に近づく

 

 中国の習近平国家主席が、胡錦濤前国家主席の側近である令計画氏の排除に動き始めた。習近平政権は反腐敗を旗印に幹部に対する追求を強めているが、当然のことながら、背後には共産党内部の権力闘争が存在している。胡氏の側近にまで影響が及び始めたことで、習氏の権力集中は完成段階に近づきつつある。

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 今回、調査を受けた令計画氏は、中国共産党統一戦線部長で、全国政治協商会議副議長を務める大物である。令氏は党の青年組織である共産主義青年団(共青団)の出身で、同じく共青団出身だった胡錦濤前国家主席の側近といわれてきた。調査が行われたということは、近く汚職などで摘発される可能性が極めて高く、失脚はほぼ確実である。

 習氏は当初から、共青団を中心とする胡錦濤グループと対立しており、共産党総書記に就任する際には、上海閥と呼ばれる江沢民グループの支援を受けた。総書記就任後は、胡錦濤グループを要職から排除する一方、今度は江沢民氏を後ろ盾とする重要人物も次々と粛正してきた。

 最初のターゲットとなったのは、重慶市のトップとして君臨し、政治局常務委員入りが確実といわれていた薄熙来氏である。薄氏は汚職などで摘発を受け、無期懲役が言い渡されている。続いて、薄氏の後ろ盾だった周永康・前政治局常務委員が失脚し、さらには、人民解放軍の幹部だった徐才厚・元中央軍事委員会副主席の党籍が剥奪された。

 今回、調査の対象となった令氏は、息子がフェラーリで暴走して事故死するというスキャンダルを起こしているが、そのもみ消しを周永康氏に依頼したともいわれている。結果として令氏はそのつながりで汚職の調査を受けることになった。
 令氏は、胡錦濤氏の側近だが、最近は関係が疎遠になっているともいわれていた。胡錦濤グループの政権中枢からの排除はかなり以前から進んでいたことを考えると、今回の令氏の失脚は、胡錦濤グループに対する権力闘争というよりもダメ押しにすぎないのかもしれない。

 習氏によって失脚させられた4名は、2017年に行われる次の全人代(全国人民代表大会)において、習近平氏を退任させる意向を持っていたいわれる。中国のメディアでは、粛正された薄氏、周氏、徐氏、令氏の4名について「新四人組」と表現している。
 四人組とは、かつて文化大革命が発生した際、権力闘争に敗れて反革命罪で摘発された、江青氏ら4人の幹部を指す言葉である。習近平国家主席は、文化大革命になぞらえて、有力者4名を失脚させ、次の5年間における政権の座をより確実にしたということになる。

 江沢民氏を後ろ盾とする有力幹部を相次いで摘発し、胡錦濤氏の側近を事実上排除した今、習氏の権力集中は完成に近づきつつある。今後、大きな揺り戻しがなければ、さらに5年間、習氏が国家主席であり続ける可能性が高くなってきた。ただ、これをもってして、中国の政治が安定したと見るのか、次の権力闘争の確率が高まったと見るのかは人それぞれだろう。

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