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政府の予算と決算には乖離がある。経済対策3.5兆円を額面通りに評価してはいけない

 

 政府は2014年12月27日、臨時閣議を開き、総額3兆5000億円の経済対策を決定した。消費税の引き上げと円安による輸入物価の上昇が家計や中小企業に大きな影響を与えているとしており、こうした部分への手当を強化する。経済対策の実施によってGDPを0.7%分増加させたい意向だ。

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 具体的な内容としては、生活者や事業者へに対する直接的支援に1兆2000億円、地方活性化に6000億円程度を割り当てる。資金使途について、各自治体が独自に決定できるよう、交付金を創設する。低所得者の灯油購入支援、介護施設や公共交通機関を利用できるサービス券、子どもがいる世帯への手当がなどが想定されている。また、住宅エコポイント制度を復活させ、住宅の購入を後押しする。

 昨年度の補正予算は5兆5000億円だったので、一部からは経済対策としては規模が小さいという声が出ている。消費増税が延期になったことから、財政状況はさらに厳しくなっており、政府としてはできるだけ支出を抑えたいところである。麻生財務大臣は、消費税を延期した効果があるので、単純に比較することは難しいとの見解を示している。

 現実問題として、補正予算の妥当性について、予算段階で評価するのは難しい。その理由は、政府が実際に支出する金額と予算額との乖離がかなり大きいからである。

 政府支出が経済に与える影響については、ほとんどが予算ベースで議論されている。2014年度の当初予算は95兆8823億円であり、今回の補正予算額は3兆5000億円である。政府支出総額は99兆3823億円となるはずだが、現実にはこの数字にならない可能性が高い。
 例えば2012年度は、当初予算が90兆3339億円、補正予算が10兆2027億円だったので、予算総額は100兆5366億円であった。しかし、政府が実際に支出した額は97兆871億円しかなく、約3兆円を余らせている。

 予算を組んでも不用として使われなくなったものや、翌年度への繰越し分などがあり、予算額と支出額は一致しない。今年度の予算額のうち何%が実際に支出されるのかは、現時点では分からないのだ。
 ここ数年、最終的な政府支出は100兆円程度になっている。当初予算と補正予算がすべて消化されれば、トータルでは例年並みということになるだろう。一部が消化されないということを前提にすると、今回の補正予算はかなり絞った内容ということになるのかもしれない。

 このところ日本経済は政府支出に依存する状態が続いている。だとするならば、実際にいくらの政府支出があり、それがGDPにどう影響を与えたのかという議論がより重要となる。予算だけなく、最終的な支出額についても検証を加えていく必要があるだろう。

 - 政治, 経済 ,

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