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税制改正大綱が決定。注目点は法人減税と高齢者から子や孫への資産移転

 

 自民、公明両党は2014年12月30日、2015年度税制改正大綱を決定した。焦点だった法人減税は、2年間で3.29%引き下げることで合意した。生活面では若い世代への資金移転を促す内容が目立った。

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 現在、企業の法人税の実効税率は、標準税率で34.62%(東京都は35.64%)となっているが、これを来年度から2年間かけて3.29%引き下げる。具体的には2015年度は2.51%の引き下げ、16年度は0.78%の引き下げとなる。
 これに加えて「2016 年度以降の税制改正においても、20%台まで引き下げることを目指して改革を継続していく」との記述が盛り込まれ、安倍政権が目指していた20%台までの法人減税に道筋を付けた。

 ただ財源については、減税分すべてが手当できているわけではない。給与総額など、事業規模に応じて課税する外形標準課税の範囲を拡大するほか、欠損金の繰越し控除縮小などを決めたが、減税幅は財源を上回っており、当面は先行減税となる。

 生活面では、高齢者が若い世代に資産を移転させるための制度が目立つ。子や孫の住宅購入を援助する際、最大1000万円までを非課税とする制度を2019年まで延長し、特に2016年からの1年間は最大3000万円に拡大する。結婚や子育ての費用について1000万円を上限とする新しい非課税制度を作ったほか(ただし4年間の時限措置)、株式投資から得られる利益や配当について5年間非課税とする「少額投資非課税制度」(NISA)の子供版を設けた。

 法人減税については、法人からの課税を財源としているので、基本的には徴収対象を変更するという考え方になる。赤字企業への課税が増え、黒字企業の課税が減る。黒字を出している優良企業の負担が減る一方、税制に支えられ存続してきた企業は淘汰されることになる。これは産業構造の転換を促す効果があるが、赤字が続くベンチャー企業にとっては不利になるかもしれない。

 資産を若い世代に移転する高齢者への減税は、資産の世代間格差を解消させることになるので、マクロ的には意味のある施策と考えられる。ただ、世代間移転は促進されるものの、世代内格差は拡大することになるため、消費全体が活性化するのかは未知数だ。

 基本的にマネーは循環しやすくなるため、一定の効果は見込める可能性が高い。ただ、産業構造や社会構造の抜本的な変革を促すほどの改革ではなく、従来路線の延長という印象は拭えない。また財政再建への道筋が遠ざかったことも、中長期的には課題となってくるだろう。

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