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9月の経常収支がとうとう赤字に。日本は輸出はおろか、金貸しをしても儲からなくなった

 

 製造業の競争力の証であり、日本経済のすべての原動力となってきた経常収支がとうとう赤字に転落した。

 財務省が8日に発表した9月の経常収支は5036億円の黒字と、前年同月に比べて68.7%減少したものの何とか黒字を確保した。だが、季節的な影響を除いた経常収支は1420億円の赤字となり、現行統計を開始した1996年以来初めての赤字に転落した。算出方法が異なる旧統計までさかのぼると、オイルショックの影響で原油価格が高騰した1981年以来のこととなる。

 経常収支は大雑把にいうと、貿易収支と所得収支の二つで決定される。
 貿易収支は文字通り貿易での儲けのこと、所得収支は用語が分かりにくいが、要するに海外への投資で得られる利子や配当のことである。つまり実業での儲けが貿易収支、不労所得(金融・投資)での儲けが所得収支である。

 日本は高度成長以降、ひたすら製造業の輸出で設けてきた。一方で日本が豊かになるにつれて、工場で汚れて働くのではなく、お金でお金を生み出す投資活動が活発化してきた。バブル崩壊後は海外への投資が急増し、5年前からは貿易での儲けよりも不労所得での儲けの方が多くなっていたのである。
 今回、原発停止によるエネルギー輸入の増加や製造業の衰退によって貿易の赤字が急増した。利子収入をプラスしても全体がマイナスになるという状況に陥ったのが、9月の統計結果である。

 この結果が示す意味は大きい。昨年から貿易赤字が定着しつつあるが、不労所得を足すとまだ全体は黒字であった。だが、今回は、貿易黒字が減少しただけではなく、不労所得を足してもマイナスなのである。製造業の競争力低下は壊滅的な水準といえる。

 日本人は米国を金融資本主義などといって批判しているが、日本ほど所得収支が大きい(投資などの不労所得で儲けている)国は他にはない。しかも日本の所得収支のほとんどは米国の投資から得られている。米国人が汗水たらして働いて得たお金を日本人は利子として巻き上げているのだ。
 だが、この不労所得があったおかげで、貿易収支がボロボロでも、経常収支が大幅は赤字にならずに済んでいる。もしこの不労所得がなかったら、巨額の貿易赤字によって円や国債は暴落し、かつて経済が破綻したチリやアルゼンチンのようになっていただろう。

 日本人はアメリカ流金融資本主義の最大の受益者であることを自覚しなければならない。そして、この不労所得がある間に経済を立て直すことができなければ、本当にチリやアルゼンチンになってしまうだろう。豊かな暮らしを維持したいのであれば、痛みを伴う改革は避けて通れないのである。

 - 経済

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