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パナソニックが生産拠点を国内に回帰。だがこうした動きは限定的?

 

 パナソニックは、エアコンや洗濯機といった白物家電について、今年の春から順次、国内生産に切り替える。中国の人件費の高騰で現地生産コストが大幅に上昇したことや円安が主な要因。

 panachinakojo 同社は国内向け白物家電の多くを中国で製造しており、日本に輸入して販売を行っている。しかし、中国での人件費高騰が激しいことから、2年ほど前から生産の一部を国内に戻す検討を進めていた。

 今回の決定を受けて、生産拠点の本格的な国内回帰を期待する声も出ているようだが、こうした動きは限定的なものと考えた方がよいだろう。
 同社の津賀社長は昨年の11月時点においても「生産比率を大きく変えるところまでの国内回帰は考えていない」と発言している。その後、一気に進んだ円安が最終的な決断のきっかけになった可能性が高いが、あくまで円安は判断材料のひとつにすぎない。

 製品の製造コストに占める人件費の割合は約25%、製品価格全体からすると18%程度である。多くが部品の調達コストや減価償却費、研究開発費で占められており、これらはどこに生産拠点があっても大きく変化しない。現代の製造業では、グローバルに見て需要地域に供給しやすい場所に工場を作ることの方が重要となっている。

 現在、同社は白物家電を含むアプライアンス製品を1兆2000億円ほど販売している。このうち国内向けは5000億円程度とみられるが、同社全体の売上高からみれば、数%というレベルである。
 人件費が高騰した中国から工場をシフトする場合、あらたに途上国に工場を建設するというやり方もあるが、この程度のボリュームであれば、工場の海外移転で余剰スペースを抱える国内工場にラインを増設した方が最終的なコストを抑えられる可能性が高い。

 だがこれが世界市場を対象とした製品の場合、必ずしもそうとは限らない。需要がもっとも多く、部品の供給を受けやすい地域に工場を設置するのがベストであり、その場所は必ずしも日本とは限らない。
 国内向けの製品を中心に、今後も製造拠点を回帰させる動きが出てくると考えられるが、製造業全体の大きなトレンドとは考えない方がよいだろう。

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