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スイス・ショックで投資家の脳裏に浮かんだのはプラザ合意

 

 スイス中銀が為替無制限介入政策を突如撤廃したことによって、市場に嫌なムードが広がっている。その理由は、スイスの無制限為替介入が、日本に量的緩和策導入を迫る役割を果たしていたこと、そして、今回のスイスの状況が、バブル経済の引き金となったプラザ合意を想起させるからである。

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 白川前総裁時代、日銀は量的緩和策の導入に消極的であった。これに対して、各国の量的緩和推進派からは、日本がデフレ脱却に向けてインフレターゲットを導入するよう要請する声が上がっていた。スウェーデン中銀のスヴェンソン副総裁(当時)は、円売りの無制限介入を行うことによって、日本はデフレから脱却できると説いていた。

 スイス中銀が2011年に、今回放棄することになった無制限介入制度を採用したのは、こうした声を背景にしたものである。スイス中銀の決断が直接的な原因ではないが、こうした議論が最終的に黒田総裁による量的緩和策につながったことは間違いない。

 ところが、スイス中銀は、この無制限介入を突如、放棄してしまった。無制限介入は、読んで字のごとく、まさに無制限の介入なので、政策目標が実現できるまで、決して撤退しないというスタンスを明確にすることに意味がある。
 中央銀行の政策がいとも簡単に撤回されるということになると、日銀による異次元の量的緩和策についても、果たしてどこまで貫徹されるのかという疑問が市場に出てくる可能性がある。こうした雰囲気は、量的緩和策の効果を半減させてしまうだろう。

 さらによくないのが、現在スイスが置かれている状況が、日本のバブル経済の引き金となった1985年のプラザ合意の前後とよく似ていることである。
 日本政府はプラザ合意による円高が想定外に進んだことに動揺し、従来の方針を転換して大量の円売りドル買い介入を行ったものの、結局、市場には勝てず、減価する大量のドルを抱え莫大な損失を被った。さらに市中に出回った大量の円を効率よく吸収することができず、結果的に過剰流動性を生み出し、バブル経済の引き金を引いてしまった。

 プラザ合意前後の出来事と今回の措置は直接関係しないが、市場関係者の心理に影響する可能性は否定できない。欧州経済に対する不安と、今回のスイス中銀による政策放棄が、急激な円高の引き金となる可能性はゼロではないだろう。マクロ的に見て円安の要素が多いことと、心理面を引き金とした短期的な値動きは直接関係しない。しばらくはボラティリティの大きい相場となるかもしれない。

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