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オバマ政権が富裕層課税を提唱。日米における格差の質的違いが際立つ

 

 オバマ政権は2015年1月18日、格差解消のため富裕層課税を強化する方針を打ち出した。20日に行われる一般教書演説に富裕層課税策を盛り込む。
 日本でも格差問題が議論されているが、米国の格差と日本の格差は質が異なっている。富裕層課税という政策手段が残っている米国は問題解決が容易だが、日本の場合、そう簡単にはいかない。

 obamakakusa 格差には2種類存在する。超富裕層とそうでない層の格差と、中間層以上と貧困層の格差である。米国では象徴的にトップ1%が全体の富のほとんどを占めているといわれるが、実際にはトップ3%が全体の54.4%を占めている。日本はトップ8%が全体の富の50%を占めている状況なので、米国よりは超富裕層の割合が少ない。

 一方、貧困について見てみると、日本の相対的な貧困率は約15%で米国(約17%)とほぼ同水準となっており、欧州などと比較すると突出して高い。米国の貧困率はほぼ横ばいで推移しているが、日本の貧困率はこのところ急上昇している。

 総合すると、米国はもともと格差が大きい国だが、このところの経済成長の恩恵を受け、特に超富裕層が富を増大させたことで中間層との格差が拡大している。一方、日本は超富裕層は存在していないが、貧困層が増加するという形で格差が拡大している。つまり米国は上向きの格差拡大で日本は下向きの格差拡大である。

 米国で富裕層の富が増大したのは、ブッシュ政権が富裕層減税を次々と実施した影響が大きい。今回、オバマ政権が打ち出した富裕層課税は、基本的にキャピタルゲイン課税が中心となっており、レーガン政権の時代まで税率を戻すというものである。つまり過剰に保護された富裕層への課税を定常状態に戻すということを意味している。富裕層の優遇によって広がった格差を是正する措置としては、きわめてまっとうなものといえよう。

 一方、日本の場合は問題解決がやっかいだ。富裕層が増えたのではなく、貧困層が増えた形の格差だからである。こうした状況を改善するためには、経済を正常な状態に戻すしか方法はないが、安倍政権が提唱している経済再生策は基本的にインフレ政策であり、どちらかというと富裕層に有利な政策である。

 アベノミクスの恩恵が貧困層まで行き渡るには、まずは富裕層の富を増やし、そこから課税を強化するという、2段階のステップを踏む必要がある(いわゆるトリクルダウン)。仮にアベノミクスが成功したとしても、日本の格差が解消されるまでには、かなり時間がかかるだろう。

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