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イスラム国による邦人殺害予告。真価が問われる日本版NSCと日本人

 

 イスラム過激派組織「イスラム国」のグループは2015年1月20日、日本人男性2名を拘束している映像をインターネット上に公開し、日本政府に対して72時間以内に身代金2億ドル(約238億円)を支払わなければ殺害すると警告した。

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 殺害を予告されているのは、昨年8月、シリアでイスラム国に身柄を拘束された湯川遥菜氏と、昨年10月にシリアに入国したフリー・ジャーナリストの後藤健二氏。湯川氏は軍事請負会社を経営していると自称しているが、その実態は不明でシリアでの活動もよく分かっていない。後藤氏は取材のためシリアに入国している。

 今回の映像公開は、安倍首相が中東を歴訪し、イスラムテロ対策として2億ドルの支援を表明したことが発端になっていると考えられる。身代金として2億ドルが設定されているのは、日本からの支援金額に合わせた可能性が高い。

 安倍政権は2013年12月、外交・安全保障政策の目玉として、国家安全保障会議(いわゆる日本版NSC)を発足させた。国家安全保障会議は、外交・安全保障の分野において首相が強いリーダーシップを発揮し、迅速に行動することを目的としている。
 今回の人質事件は、国家安全保障会議設置後、はじめての国家的な重大案件となる。安倍政権の目玉となっている政策であるだけに、首相のリーダーシップで事態を適切に処理できるのか、その手腕が問われることになる。

 人質を取るテロ行為に対しては、大きく分けて、開放を優先し身代金を払うというやり方と、テロリストとは交渉しない方針を貫くという2つがある。かつて日本政府は、1977年に発生したダッカ日航機ハイジャック事件において、福田赳夫首相(当時)が身代金支払いと過激派メンバー釈放という超法規的決断をしたことがある。「一人の生命は地球より重い」という福田氏の発言は有名である。

 この行為に対しては、各国から批判が殺到したが、欧米各国も、基本的にはテロリストとは交渉しないという方針を打ち出しつつも、実際には状況に応じて交渉に応じるケースがある。
 この事件をどう解決すべきなのかは、日本人がイスラム国、あるいはこうしたテロリズムに対して、どのようなスタンスで臨むのか、さらには邦人の安全確保についてどのような価値観を持つのかというところで決まってくる。最終的には日本人自身の問題と考えるべきだろう。

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