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オバマ大統領の一般教書演説。もっともリベラルな内容との指摘も

 

 米国のオバマ大統領は2015年1月20日、米議会において一般教書演説を行った。中間選挙で敗北したことから、共和党が上下両院で多数派を占める状況となり、政権のレームダック化も指摘されている。
 だが、次の選挙を気にする必要がなくなったことが影響したのか、逆にオバマ色を全面に出した内容となった。歴代政権の中でも、もっともリベラルな教書だという指摘も出ている。

kyosho2015

 米国は日本と異なり厳格な三権分立制度を採用している。このため通常は大統領が議会で政策について説明することはない。一般教書演説は、大統領が議会に対して施政方針を示す数少ない機会である。

  演説の冒頭でオバマ大統領は、経済は順調に成長しており、過去最速のペースで雇用が改善していることや、国民皆保険制度(いわゆるオバマケア)を導入したことなどに触れ、自らの実績を強調した。その上で、経済成長の恩恵を中間層にも行き渡らせるための政策が重要であると訴えた。

 具体的には、富裕層への課税強化、最低賃金の引き上げ、労働者の有給休暇の増加、男女間の賃金格差の解消、大学教育(コミュニティ・カレッジ:日本の短大に相当)の無償化などを提唱している。
 賃金については「賃上げに反対する議員の皆さん。本当にあなた方は年収1万5000ドル(約177万円)で子供を養っていけると思いますか。そうならばぜひやってみてください」とかなり強い調子で賃金増加の政策に同意するよう呼びかけた。

 前回の教書演説と同様、中東問題など外交に関しては、わずかしか言及していない。ただ今回はフランスでイスラム過激派によるテロが発生したことから、こうしたテロに立ち向かう姿勢は強調した。だが全体のトーンとしては、外交問題にあまり関心を示していないオバマ政権のスタンスが全面に出た形となっている。

 当然のことながら、この教書に対しては、議会与党の共和党は否定的な見解を示している。実際、どの程度、政策が法案化されるのかは不透明な状況である。
 ただ、米国の格差問題は、富裕層に対する度重なる優遇が原因であることは間違いなく、共和党内部でも、一定の格差是正については容認する声もある。米国の経済は非常に好調であり、富裕層への課税を以前の水準に戻しても、景気失速のリスクはほとんどない。場合によっては、格差是正策について何らかの妥協が得られる可能性がある。

 いずれにせよ、今回の教書演説において、オバマ大統領が自らの路線を変更する意思がないことがはっきりしてきた。少なくとも次の大統領選挙までは、米国はリベラル路線をより強化していくことになるだろう。

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