ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

IMFが2015年の世界経済見通しを発表。米国だけが大幅上方修正

 

 IMF(国際通貨基金)は2015年1月20日、世界経済見通しを発表した。2015年の世界経済の成長率見通しは、物価変動の影響を除いた実質でプラス3.5%となり、10月時点の見通しから0.3ポイント引き下げられた。欧州、日本、中国の景気失速が響いた。一方、米国は0.5ポイントも引き上げとなり、世界経済の成長率を上回るプラス3.6%となった。米国一人勝ちの状況がさらに顕著になっている。

imf201501

 IMFでは毎年4月と10月に世界経済の見通しを発表している。また7月と1月には、各見通しの修正を行っている。今回、成長率見通しが引き下げられたのは、欧州と日本の景気が著しく悪化する可能性が高くなってきたからである。中国の成長率が低下していることも響いた。

 ユーロ圏の成長率は、0.2ポイント引き下げられ1.2%となった。スペインやイタリアなども見通しは引き下げられているが、マイナス成長にはなっていない。だがこれまで欧州の優等生だったドイツに影響が及んでおり、同国の成長率はユーロ圏全体と同じ1.2%にとどまる見通しとなっている。日本は0.2ポイント引き下げてプラス0.6%になった。

 欧州ではECB(欧州中央銀行)がとうとう量的緩和策の実施を決定した。だが欧州の景気低迷は、日本と同様、構造的な問題が大きく、米国と比べて金融政策が効きにくい状況にある。欧州が量的緩和策で息を吹き返すのかは不透明だ。

 ロシアはウクライナ問題による経済制裁に加え、石油価格下落の影響をモロに受けており、成長率はマイナス3.5%に達する見込みである。ロシアについてはマイナス4%台の成長を予想する国際機関もあり、さらに下ブレするリスクがある。
 ロシア経済を直撃している原油価格下落の影響については、全世界的に見た場合、プラスの効果をもたらすとIMFでは判断している。特に米国は石油の消費量が突出して多く、原油価格下落は個人消費を大幅に拡大させる可能性がある。

 原油価格の下落でシェールガス事業者は減産を迫られているが、巨大な消費市場拡大の効果が上回る可能性が高い。米国は原油価格が上がればシェールガス事業者が増産することで、相対的に他国よりも安く原油を調達できる。一方、原油価格が下がれば、消費市場がその恩恵を受けることになる。基本的にどちらに転んでも有利な立場といえるだろう。

 ここから当分の間、世界経済は米国主導で進むことになる。世界経済の失速懸念があるとすると、それは米国経済の不調ということになる。今のところ米国経済に弱点は見られないが、もし米国経済の歯車が逆転するような事態となれば、世界景気全体が大きく落ち込むことになるだろう。

 - 経済 , , ,

  関連記事

kakugi02
緊急経済対策が正式に閣議決定。内容は経済産業省の意向を強烈に反映している

 政府は11日午前の閣議において緊急経済対策を正式決定した。地方自治体や民間企業 …

imf201401
IMFの経済見通しを見れば、消費税10%増税を年内に決定する理由が分かる

 IMF(国際通貨基金)は2014年1月21日、最新の世界経済見通しを発表した。 …

no image
楽天が出版取り次ぎに参入。その本当の目的は?

 楽天が出版取り次ぎ業に参入すると朝日新聞が報じている。取り次ぎとは書籍の卸売業 …

no image
韓国の家計部門が危機的水準に突入と海外メディアが報道

 韓国の家計債務の可処分所得比率が危機的レベルに近づきつつあるといくつかの海外メ …

shutoko
笹子トンネル事故が、抑制されてきた公共事業再開の大義名分になる可能性

 中央自動車道の笹子トンネル事故をきっかけに、これまで抑制されてきた公共事業がな …

kousaihi
「焼け石に水」にすらならない企業の交際費非課税案。もはや日本経済は末期症状

 来年4月の消費税増税対策の一つとして、大企業における交際費の一部が非課税となる …

shukinpei03
中国経済への自信?それとも強権発動覚悟?中国指導部の強硬姿勢がより鮮明に

 中国国営の新華社通信は7月7日、中国財政部(財政省)が緊縮財政措置の一環として …

sonyhirai
米投資ファンドがソニーに分社化を要求。グローバルカンパニーならではのプレッシャー

 米国の投資ファンドであるサード・ポイントは、5月14日、ソニーの平井社長と面談 …

tokyowan
企業の設備投資予定額が大幅増。だが公共事業の影響も大きく継続性があるかは不明

 日本政策投資銀行は8月5日、2013年度の設備投資計画に関する調査結果を発表し …

kougaibukken
進む不動産市場の二極分化。郊外は高級物件でも売りにくくなっている

 不動産市場の二極分化が、ゆっくりとしたペースではあるが、着実に進行している。首 …