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ECBがとうとう量的緩和策を導入。効果があるのはドイツだけ?

 

 ECB(欧州中央銀行)は2015年(ECB)は22日、とうとう量的緩和策の導入を決定した。欧州のデフレ懸念が高まっていることから、国債の大量購入で資金を供給するが、各国の思惑が錯綜しており、どの程度の成果を上げられるのかは不透明だ。

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 ECBの決定に基づき、各国中央銀行は、3月から国債を中心に毎月600億ユーロ(約8兆円)の資産買い取りを実施する。期間は2016年9月までとしているが、暫定的な期限であり、物価が適切に上昇するまで続けるというスタンスだ。

 ECBの決定に対して市場はとりあえず好感しているが、量的緩和策の効果については、懐疑的な見方も多い。今回の緩和策における具体的なスキームを見るとそのあたりの理由がはっきりしてくる。

 どの国の国債を購入するのかという購入比率については、基本的にECBへの出資比率で決まってくる。結果的にドイツの国債を購入する割合が高くなるが、人気が集中しているドイツの国債ばかり買っても効果は限定的なものになってしまう。しかもドイツは財政再建に成功しており、新規の国債発行がほとんどない。どこかのタイミングで購入する国債がなくなるという状況が発生する可能性がある。

 また、損失が発生した場合についての穴埋めも、ECBが2割負担するものの、残りの8割は各国の中央銀行がリスクを負う。ECBが欧州全体のために量的緩和を実施するというよりも、各国の中央銀行が個別に緩和策を実施する状況に近い。
 緩和策の規模も限定的だ。日銀は年間80兆円の資金を供給しているが、ECBにおける今回のプランは日銀とほぼ同程度である。経済規模が日本の3倍近くあるユーロ圏全体に対する資金供給量であることを考えると、規模が小さいという印象は拭えない。
 こうした状況になっているのは、ドイツなど財政再建を優先する国の意向が強く働いているからである。異なる経済状況の国の集合体であるユーロが持つ根本的な課題といえる。

 欧州と米国の経済構造の違いを指摘する声もある。欧州は米国よりも日本に近く、資産価格の下落によって単純に金融が目詰まりしていることだけが景気低迷の理由ではない。既得権益の存在など、構造的な問題が大きく影響している可能性が高く、こうした状況を放置したままでは金融政策の効果を半減させてしまう。

 量的緩和を実施しないよりはマシだろうが、大きな効果は期待できないと考えた方が自然である。日本と同様、なかなか出口戦略を見つけられない状況に陥る可能性が高い。

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