ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

オバマ大統領がインドの共和国式典に主賓として参加したことの意味

 

 オバマ米大統領は2015年1月25日、インドを訪問しモディ首相と首脳会談を行った。翌日には、米国の大統領としては初めて、インドの共和国記念日の式典に主賓として出席した。

obamaindo オバマ大統領のインド訪問は2回目であり、米国とインドの関係は近年、非常に緊密になっている。だが、戦後一貫して独自路線を貫き、時に米国と激しく対立したインドの国家的式典に米国大統領が主賓として参加したことは、戦後政治の枠組みが大きく変化したことをあらためて内外に示す結果となった。

 インドは、英国から独立後、1950年に共和制に移行した。インドは西側にも東側にも属さない非同盟主義を提唱し、いわゆる第三世界のリーダーとして強い影響力を持ってきた。米国主導の核不拡散条約に加盟せず、独自の核開発を行うなど、時には米国と激しく対立したこともある。米国が同盟国以外で、独自の核開発を実質的に容認したのはインドだけである。

 だが米ソ対立がなくなったことや、世界経済のグローバル化を受けて、国際情勢は大きく変化した。インドではIT産業が活発となり、米国との経済的な関係が深まっていった。最近では中国と並んで、インドは世界最大の市場とみなされており、米国はインドとの関係強化を強く求めるようになっている。

 インドと米国の間には、製薬業界や鉄鋼業界などを中心に、貿易に関する紛争をいくつも抱えており、順風満帆という状態にはない。それでも、オバマ大統領がわざわざ記念式典に主賓として出席した背景には、中国の存在がある。

 インドはかつて中国と国境紛争を起こしたことがあり、利害が対立することが多い。しかし、中国とインドはすでに互いの存在を無視できない立場になっており、今後、どのような二国間関係が構築できるか模索している最中である。
 一方、米国にとっては、中国は最大の貿易相手国であり、現在、もっとも重視すべき国である。インドと米国は双方にとって、中国との交渉を有利に進めるため、お互いを中国への牽制球として利用するメリットがある。
 対中国という意味では、インドと米国は利害が一致しているが、その背後には、実は双方とも、中国と有利に付き合いたいという目的が存在している。いわば大人の関係といったところだろうか。

 インドではイスラム過激派によるテロがたびたび発生しており、今回のオバマ大統領の訪問では厳戒態勢が敷かれた。オバマ氏が乗る米国の大統領専用機エアフォースワンが到着する前後は、半日にわたってインドの広い空域に飛行制限がかけられ、インド空軍の戦闘機以外は、航空機を立ち入らせないという異例の措置が取られた。飛行制限空域は、パキスタン領空ギリギリまで設定されたという。

 オバマ大統領は、当初、タージマハールを訪問する予定だったが、アブドラ国王の急死を受けて、27日にサウジアラビアに向かった。

 - 政治 , ,

  関連記事

nougyouyushutu
日本の農作物輸出が過去最大。だが全体から見れば輸出はごくわずかという現実

 日本の農作物の輸出が徐々に増加している。農林水産省の調査によると、2013年に …

iwatakikuo
岩田副総裁候補が、積極的な財政出動を肯定。バラ捲き予算にはずみ?

 日銀副総裁候補の岩田規久男学習院大教授は5日、衆院議院運営委員会の所信聴取に出 …

aso03
麻生財務省のナチス発言に見る、自民党中枢部の感覚の「古さ」

 憲法改正をめぐって麻生財務相が「ナチスの手口を学ぶべき」という趣旨の発言をした …

kakugi02
古い自民党に先祖返り。2013年度税制改正大綱に見るアベノミクスの真実

 政府は1月29日、2013年度税制改正大綱を閣議決定した。税制改正大綱は、国会 …

江沢民
中国の前国家エネルギー局長の汚職事件。江沢民グループの影響力排除が目的か?

 新華社通信や中国中央電視台など中国の国営メディアは、中国共産党中央規律検査委員 …

misairuhikaku
北朝鮮が打ち上げた「銀河3号」と韓国のロケット「羅老号」はどう違うのか?

 北朝鮮が打ち上げた長距離弾道ミサイルについて、打ち上げプロジェクトは基本的に成 …

abejosei
安倍首相が配偶者控除の廃止を指示。是非を議論できる段階は過ぎている

 安倍首相は2014年3月19日、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議にお …

ribiatero
米国が中東で2つの対テロ作戦を同時遂行。今後はこうした「見えない」戦争が中心か?

 米軍は10月5日、リビアとソマリアにおいてほぼ同じタイミングで特殊部隊による対 …

shukinpeihoubei2015
習近平国家主席の米国訪問始まる。ビル・ゲイツ氏は何と自宅で直接もてなし

 中国の習近平国家主席は2015年9月22日から、2回目となる米国訪問を行ってい …

hiranuma
維新の会と石原新党が急接近。橋下氏のたちあがれ批判は戦略?

 基本政策の違いをめぐって駆け引きが行われていた維新の会と石原新党(たちあがれ日 …