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米国の予算教書。税収増で財政赤字問題はほぼ解消。歳出拡大へ

 

 米大統領府(ホワイトハウス)は2015年2月2日、2016年会計年度(2015年10月~2016年9月)の予算教書を提出した。オバマ政権はこれまで徹底的な歳出削減を行ってきたが、景気の回復で税収が増加している。財政赤字の問題はほぼ解消されつつあることから、今回の予算教書では緊縮一辺倒からの軌道修正が行われた。国防費の大幅な削減に反対してきた共和党への配慮もある。

 beiyosan 米国では予算を作る権限は議会にあり、大統領は予算を作成することができない。大統領は、必要となる政策や予算について「教書」という形で議会に提出し、議会はそれを参考に予算案を議論することになる。最終的な予算がどうなるのかは議会次第だが、教書を見ればおおよその財政状況を把握することができる。

 米国は景気回復によって税収が増加していることや、オバマ政権による歳出削減策などで、財政収支が改善している。オバマ大統領はこうした状況を受け、1月23日に行った一般教書演説において、中間層への支援策を強化する方針を打ち出していた。
 今回の予算教書はこれを受けて、子育て世帯への支援策や、2年制大学(コミュニティ・カレッジ)の学費無償化、インフラ整備などに対する歳出拡大を要求している。このための財源としては、富裕層向け減税の撤廃や、大企業の海外利益に対する課税強化などが盛り込まれた。

 歳入は前年度比11%増の3兆5250億ドル(約412兆円)、歳出は前年度比6.4%増の3兆9999億ドル(約468兆円)、財政赤字は4740億ドル(約55兆円)となった。財政赤字の対GDP比は2.5%となり、昨年度の3.5%から大幅に改善している。

 一方で共和党に対する配慮も見せている。オバマ大統領は米国史上最大規模の軍縮を実施しているが、今回の教書ではそのペースを鈍化させる方針を示した。大幅に削減する予定だった国防費については、テロ対策強化などを目的として、前年度比2.7%増の6050億ドルを確保している。ただ、富裕層向け減税の撤廃など、共和党が強行に反対する内容が含まれており、妥協は困難とみられる。

  2025年までの長期見通しについては、従来の緊縮路線を軌道修正した。2020年時点における財政赤字のGDP比は、前回の教書では2.2%程度としていたが、今回の教書では2.5%となっている。その後についても同様で、前回の教書ではGDP比1%台まで落とす予定となっていたが、2025年まで2.5%前後を維持する方針だ。

  共和党は、支出を拡大し増税するための予算だとして、これに反対する姿勢を明確にしている。ベイナー会員議長は共和党独自の予算案をまとめる考えを示しており、今後議会での攻防が予想される。

 - 政治

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