ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

JA全中が農協改革案を受け入れ。今後は農業従事者のサラリーマン化が進む?

 

 JA全中(全国農業協同組合中央会)は2015年2月9日、政府・与党がまとめた農協改革案について、基本的に受け入れる方針を明らかにした。JA全中が持つ地域農協への監査権を放棄する代わりに、全国農業協同組合連合会(JA全農)や全国共済農業協同組合連合会(JA共済)などを含めた全体的な組織改革は先送りとなった。

tanbo

 農協(農業協同組合)は、基本的に各地の地域農協が母体となっており、活動は独自に行うことになっている。だがJA全中が地域農協に対する監査兼を持っていることから、実質的にJA全中が農協グループ全体の司令塔としての役割を果たしている。JA全中は、政府との窓口にもなっており、全国の農家の組織票をバックに絶大な政治力を発揮してきた。

 日本の農業は国際競争力を失っており、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の妥結を前提にした場合、地域ごとに特色を持たせた多様性のある展開が必要となる。JA全中を中心とした画一的な組織では、新しい時代に対応できないというのが改革派の見解である。

 一方、全中の指導力は限定的であり、農協問題の本質ではないという意見もある。全国規模の巨大農業商社となっているJA全農やJA共済が独占的な大企業として活動していることなどを例にあげ、むしろ全体的な組織改革の方を優先すべきとの声もある。
 それでも今回、JA全中の改革が焦点となったのは、同組織が持つ政治力が大きく影響していると考えられる。安倍政権としては、農協を中心とした反TPP運動などが、非主流派による党内抗争につながっていかないよう、常に神経を尖らせてきた。JA全中が改革のターゲットになったのは、これをきっかけに官邸サイドの影響力を強化しようという意思の表われと考えられる。

 今回の農協改革によって、JA全中の政治力が著しく低下するのはほぼ確実であり、TPP交渉も前向きに進む可能性が高い。そうなってくると、今後は、JA全農やJA共済を中心に、農業の産業化が進んでいく可能性が高い。これまで独立した自営業者だった農業従事者のサラリーマン化が進むことになるかもしれない。

 - 政治, 経済 , , ,

  関連記事

no image
個人情報の取り扱いを緩和。一定ルール下で売買も可能に

 政府は30日の閣議において、企業や病院などが保有する個人の取り扱いを緩和するこ …

usakoyoutoukei201312
米雇用統計は予想を下回る。FRB議長交代もあり、市場は神経質な展開

 米労働省は2014年1月10日、2013年12月の雇用統計を発表した。このとこ …

ana787
これぞジャパン・パッシング!ANAが新北米路線で打ち出した驚異の運賃設定

 日本のエアラインが相次いで北米のニッチ路線に進出している。日本航空は12月2日 …

no image
習近平副主席がクリントン長官との会談をドタキャン。

 中国の次期最高指導者に内定している習近平副主席が、中国を訪問中のクリントン国務 …

contena
経常収支が2ヶ月連続の赤字。とうとう日本が経常赤字国へ転落するサインか?

 財務省は2月8日、2012年の国際収支を発表した。それによると、経常収支は4兆 …

hitogomi
投資も消費も消極的。日本経済のマインドはかつてのデフレ時代に戻った?

 内閣府は2016年1月14日、11月の機械受注統計を発表した。主要指標である …

shukinpei
公明党の山口代表がようやく習氏と会談。中国は得意のゆさぶり攻撃で日本側を翻弄

 中国訪問中の公明党の山口代表は25日、中国共産党の習近平総書記と北京の人民大会 …

setubitousi
11月の機械受注統計。内需経済の象徴である小売業で増加傾向

 内閣府は2014年1月16日、2013年11月の機械受注統計を発表した。主要指 …

clinton201601
「まさか」の状況となりつつある米大統領選挙。ブルームバーグ氏出馬検討の報道も

 米国の大統領選挙が大混戦の様相を呈してきている。当初、圧倒的に有利だった民主党 …

sangiinabe01
総額5.5兆円の補正予算が可決成立。だが昨年より規模が小さく、効果は限定的

 参議院は2014年2月6日、消費税増税をにらんだ経済対策を柱とする2013年度 …