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政府が中長期的な財政収支見通しを発表。最後は歳出の大幅抑制しかない?

 

 政府は2015年2月12日、「中長期の経済財政に関する試算」を公表した。前回の見通しに比べて収支が多少改善しているが、依然として財政再建が難しい状況であることに変りはない。

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 中長期試算は、内閣府が毎年、冬と夏にまとめているもので、10年後の経済成長と財政状況についてシミュレーションしたものである。
 日本政府は、基礎的財政収支について2つの公約を掲げている。ひとつは2015年度に基礎的財政収支の赤字を2010年度から半減(GDP比)するというもの。もうひとつは、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するというものである。2015年度の赤字半減は目標を達成することができたが、2020年度黒字化についてはメドが立っていない。

  見通しでは2020年度の基礎的財政収支について、9.4兆円の赤字としている。これは経済が順調に回復したと仮定し、消費税10%増税を織り込んだものである。前回見通し(2014年夏)では11兆円の赤字だったので、1.6兆円ほど改善している。
 各種報道では、アベノミクスの成果で税収が増加傾向にあり、これが長期的税収増をもたらすといった解説も見られるが、内閣府が特に税収見通しを上振れさせたわけではない。
 名目成長率や税収見通しは前回見通しとほとんど変わっておらず、国債の利払い費などを中心に歳出を抑える形で収支見通しを改善させたというのが実態だ。国債の利払い費は金利を何%と見るのかで大きく変わってくるため、多少数字のお遊び的なところがある。基本的に財政当局は数字を厳し目に見る傾向があるので、徐々に現実のレベルに合わせて、収支を調整したと考える方が自然だろう。

 一方で、税収の見通しについては、上振れす余地もある。政府は、名目GDPの増加に対して税収がどの程度増加するのかを示す税収弾性値について低めに見積もる傾向があり、実際の税収はもっと多い可能性があるのだ。

 ただ、こうした「数字のお遊び」があったとしても9.4兆円という数字が大きいことに変わりない。国会に提出された2015年度予算案は過去最大規模だが、社会保障費などを除いた調整可能な予算の多くが軒並み前年度比マイナスとなっており、歳出抑制に向けて舵を切り始めたことが明確になった。

 来年度以降、さらに歳出の抑制が進んでくる可能性が高いが、歳出抑制のカギを握るのは何と言っても年金・医療といった社会保障費である。年金については、人口動態などに応じて受給額を抑制するマクロ経済スライド制がとうとう発動された。財政収支目標を達成するには、最終的にはこうした「聖域」についても削減対象にする必要が出てくるが、政治的決断は難しい。日本の財政問題は2020年が間近に迫ってきたことで、いよいよヤマ場を迎えつつある。

 - 政治, 経済 ,

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