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1月の貿易統計、輸出数量がようやく増加傾向に。要因は好調な米国経済

 

 財務省は2015年2月19日、1月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆1775億円の赤字となった。赤字は31カ月連続 だが、前年同月比では赤字幅が58%縮小した。
 好調な米国経済を背景に輸出が増加したことが主な要因。原油価格の影響はこれから本格化する可能性が高いので、短期的にはさらに貿易収支の改善が見込める。

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 輸出額は6兆1447億円で前年同月比で17%増加した。米国経済が絶好調であることから、自動車や電子部品の輸出が増えた。金額だけでなく数量も増加していることから、需要そのものが増えていることが分かる。
 輸入額は7兆3222億円で、前年同月比で9%減少した。原油価格の下落によって原油や石油製品の輸入額が大幅に減少したことが主な要因。原油安の影響はこれから本格化することになるので、今後は輸入額がさらに減少する可能性がある。

 日本は量的緩和策によって円安が進んでいる。しかし、輸出金額は多少増加したものの、肝心の輸出数量が伸びないという状況が続いてきた。数量が伸びないのは、製造業の地産地消が進んでいることが最大の原因だが、世界的な需要低迷による影響も大きい。
 日本の製造業は圧倒的に米国市場に依存しており、米国経済が好調でなければ、日本の製造業は立ち行かない。米国は昨年、量的緩和策を終了しており、今年の夏には利上げを実施するというのがほぼ既定路線となっている。1月の雇用統計は、非常に良好な結果となっており、米国経済は成長のエンジンがかかっている。

 米国向けの輸出は前年同期比で16.5%増加した。アジア向けの輸出は22.7%増加しているが、アジア向け製品のかなりの割合が最終製品に組み立てられた後、米国に再輸出される。最終消費地は米国なので、基本的に米国の需要が拡大したと考えるのが自然であろう。輸出数量が増えてきたのは、好調な米国経済の恩恵が日本にも及んできた証拠である。

 輸出の増加に加えて、原油価格の下落で輸入金額が減少したことも、貿易収支の改善に寄与した。原油価格下落の影響はこれから本格化するので、しばらくの間、貿易赤字は縮小傾向が続くだろう。

 貿易収支が小康状態になることは日本経済にとってプラスである。貿易赤字そのものは、経済成長とは関係ないが、急激な国際収支の変化はマイナスの影響が大きい。
 現在の世界経済は米国の好景気だけに依存するかなり危うい構造である。米国経済が好調で、貿易収支がある程度の水準にとどまっている間に、国内産業構造の転換を進め、付加価値の高いサービス業の育成と、その分野への人材シフトを進めていく必要があるだろう。

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