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とうとう動き出す日本の企業統治。外国人投資家の見方は変わるか?

 

 国内で、コーポレートガバナンスに関する整備が急速に進んでいる。きっかけは、アベノミクスの成長戦略にガバナンスの問題が盛り込まれたことである。アベノミクスの成長戦略の中では、数少ない改革の成果といってよいだろう。

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  ガバナンス改革の柱となっているのは、5月に施行が予定されている改正会社法、6月から適用開始となる東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード、そして、すでに公的年金が採用を表明しているスチュワードシップ・コードの3つである。

 改正会社法は、コーポレート・ガバナンスの強化を主な狙いとしたもので、2014年6月に国会で成立した。改正法では、上場している大会社が社外役員を選任しない場合には、なぜ選任しないのか、その理由を説明しなければならない。実質的には社外役員の設置義務に近いものと考えた方がよいだろう。
 また監査等委員会設置会社という制度も導入される。監査等委員会には取締役が就任し、委員の過半数は社外取締役であることが求められる。これによって、従来の監査役よりもより強い監督機能を持たせることができる。これを設置した会社は、取締役会の決議事項を軽減することができるので、この方式に移行するインセンティブが働くという仕組みだ。

 一方、東証のコーポレートガバナンス・コードは、今年の6月1日から、東証1部と2部に上場する企業に適用される。東証と金融庁は昨年、共同で有識者会議を開催し、上場企業におけるコーポレート・ガバナンスの指針について議論を進めてきた。議論の内容を最終的にまとめたのが、コーポレートガバナンス・コードである。

 東証の新ルールは、各社がコーポレートガバナンス・コードを受け入れることが大前提となっており、結果的に、独立性の高い2名以上の社外役員の選任が求められることになる。もし社外役員を選任しない場合には、その理由を投資家に説明しなければならない。また説明そのものを怠ると企業名を公表するといったペナルティも科せられる。
 同様に、株式の持ち合いや買収防衛策については、経営陣の保身を目的としたものではないことを説明する必要がある。全体的な仕組みとして、欧米のガナバンス・ルールにかなり近づいたと考えてよいだろう。

 投資サイドでもこれを後押しする動きが始まっている。投資家側から企業に対して、ガバナンスの徹底を促すための指針「スチュワードシップ・コード」を公的年金が採用することが決定している。これを導入すると、機関投資家はガバナンス改善に積極的な企業にしか投資できなくなるので、企業側の行動を強く後押しすることになるだろう。

  一連の改革は、年金のポートフォリオが債券から株式にしたことと大きく関係しており、見方によっては、株価対策ということにもなる。だが、日本企業のガバナンスが劇的に変わることは間違いなく、外国人投資家の日本に対する姿勢も変化していく可能性が高いだろう。

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