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米国の日本に対する認識が変化?米国務省受賞者の顔ぶれに異変

 

 米国務省が毎年行っている「世界の勇気ある女性賞」の受賞者をめぐって波紋が広がっている。2015年の受賞者に、日本国内でマタハラに悩む女性への支援活動を行っている小酒部さやかさんが入っていたからである。

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 世界の勇気ある女性賞は、米国務省が2007年から行っているもので、人権活動などに貢献した女性を表彰している。
 国務省が主催していることもあり、アフガニスタンやチベットなど、基本的人権が確立していない地域で人権活動を行っている人、あるいは、貧困に苦しむ途上国の支援活動をしている人などが主な受賞者となっている。いわゆる人権外交のためのひとつの手段というわけである(米国人が受賞するケースもある)。

 日本人が選ばれるのは初めてであり、小酒部さんの活動は賞賛に値するものではあるのだが、他の受賞者の顔ぶれを見ると、何とも微妙である。

 米国は、諸外国をいくつかのカテゴリーに分けて外交活動を行っている。もっとも関係が密なのは同盟国で、民主主義という基本的価値観を共有した国がこれに分類されることになる。
 もうひとつのカテゴリーが、基本的価値観は共有していないものの、米国の国益になるという理由から、友好的な関係を維持すると判断された国である。中国やサウジアラビアなどがこれに該当する。
 中国は、かなり改善が進んできているが、基本的に共産国家であり、基本的人権が保障されない。サウジアラビアは完全な独裁王制であり、今でも残虐な刑罰が実施されている。本来であれば、米国が友好関係を結べる国ではない。

 だが中国はアジア太平洋地域に安全保障や貿易に関して絶大な影響力があり、米国は中国との関係を国益上の最優先課題としている。またサウジアラビアは、石油の安定確保と中東の安全保障上、欠くことのできない国である。したがって、これらの国々の人権問題が、両国間の議題に上ることはあまりない。
 最後のカテゴリーが、北朝鮮などに代表されるような非人権国家と認定された国である。これらの国々は、場合によっては空爆などの措置もやむを得ないと判断されている。

 民主憲法を持ち、米国と軍事同盟を結ぶ日本は、英国やフランス、ドイツなどと同様、これまでは基本的価値観を共有する国と見なされてきた。だが最近、米国政界のごく一部ではあるが、日本について基本的価値観を共有しない国とみなす動きが出てきている。

 今回の受賞者の中に日本人が入っていたことと、米国の対日感情の関係性は不明だが、外交関係の変質は、まずは細部に表れてくるのが常識である。
 外務省が米国人に対して実施している対日世論調査でも、日本は信頼できる友人かとの質問に対して、信頼できると回答する人の割合は低下している。また2014年3月には、米国から研究用として提供されていた高濃縮ウランと分離プルトニウムを米国に返却するよう要請があるなど、少々、気になる事案が増えてきている。

 日米関係は、日本の安全保障の根幹であり、こうした問題について、用心しすぎるということはない。米国世論の動向はより注意深く観察していく必要があるだろう。

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