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ドイツの対日感情が悪化する中、メルケル首相が来日。関係再構築は可能か?

 

 ドイツのメルケル首相が2015年3月9日午前、羽田空港に到着した。メルケル氏の来日は7年ぶり。安倍首相との首脳会談や天皇陛下との会見が予定されている。

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 今回の訪日は、ウクライナ問題など欧州の安全保障問題を中心に、ドイツが議長国を務める6月の主要国首脳会議(サミット)にむけて両国の連携を強化することが狙いだ。だが今回の訪日には微妙な問題が関係しているといわれる。それはドイツの日本に対する世論の急激な悪化である。

 英BBCがまとめた世界世論調査によると、「日本が世界に良い影響を与えている」と考えるドイツ人の割合は、急低下している。2011年の調査では58%だったが、最新の2014年では28%と半減した。ここまで激しい動きはめずらしい。

 理由は3つあると考えられる。ひとつは原発事故に対する日本政府の対応、もうひとつは日本の量的緩和策について、最後は歴史認識問題である。
 ドイツは緑の党でも知られるように環境問題に対する関心が高く、政策的にも脱原発に舵を切っている。ドイツのメディアでは日本の原発事故に対する情報公開について疑問視する論調が強く、今回の首脳会談でもエネルギー政策が話題に上る可能性がある。当然のことながら、ドイツの環境技術を日本に売り込みたいという思惑もあるだろう。

 日本の量的緩和策についてもドイツではすこぶる評判が悪い。ドイツは財政再建に対して極めてシビアであり、今年度の国債発行額は実質でゼロとなっている。ドイツは過大な政府債務は、世界経済のリスク要因と考えており、政府債務に無頓着な日本に対して苛立ちを強めている。ドイツ連銀が日銀の量的緩和策について批判的な見解を示したほか、メディアでも、構造改革を自力で進められない日本といったトーンの記事が目立つ。

 歴史認識問題についても、ドイツの日本に対する見方は厳しい。ドイツとしては、せっかく終了した戦後処理について蒸し返されたくないという思いが強い。日本政府要人による一連の歴史認識問題に関する発言は、戦後の基本的な国際秩序を壊すものと映っている可能性が高い。
 今回、メルケル首相は訪日にあたって、わざわざ朝日新聞で講演を行うというスケジュールを組んでいる。官邸では、70年談話に対する牽制球と受け取っているとの報道もある。

 これまで日本はドイツとの関係がそれほど密ではなかったことから、ドイツにおける対日感情はあまり意識してこなかった。だが、今やドイツは米国と並んで国際政治や経済に絶大な影響力を持つ覇権国家となっている。米国と同様、ドイツがどう考えているのかを無視して、政策を決められないのが現実である。感情論ではなく、リアリズムに徹した付き合い方を模索していくことが重要であろう。

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