ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

トヨタの新役員人事が話題。同社はガバナンスの本質をよく理解している

 

 トヨタ自動車は2015年3月4日、新しい役員人事を発表した。外国人や女性の積極登用に加え、経営と執行の分離というコーポレートガバナンスが一気に確立することになった。いわゆる米国型のガバナンスとは一線を画しつつも、グローバルな投資家の評価にも十分耐えうる体制といえる。日本企業のひとつのモデルケースになる可能性が高い。

toyotajinnji

 ダイバーシティ(多様性)という点で目玉となったのは、代表取締役副社長にフランス人の現専務役員ディディエ・ルロワ氏が内定したことと、新しい常務役員に米GM(ゼネラルモーターズ)出身で北米トヨタの女性副社長だったジュリー・ハンプ氏の就任が決まったことである。また、中卒でトヨタ入社以降、一貫して生産現場を渡り歩いてきた技監の河合満氏が専務役員に就任することも注目を集めている。
 今回の人事は豊田章男社長の肝入りといわれており、多様性を重視したトヨタの新しい経営方針の表れと受け止められている。

 こうした象徴的な人事に加え、本格的なガバナンス体制が確立したことも注目に値する。株主総会で承認される予定の取締役候補は全部で12名だが、うち3名は社外取締役で、広報担当の専務役員である早川茂氏以外は、すべて代表権を持った副社長以上の人物で構成されている。

 早川氏以外は、基本的に経営の仕事をすることになるため、経営と執行はほぼ明確に分離されることになる。日本の会社にありがちだった執行側の上下関係が取締役会に持ち込まれるという弊害についても、取締役会に執行側から参加する人物のほとんどが代表権を持っていることから、ある程度対等な議論が担保できる。

 日本企業の多くは、経営と執行の分離という概念を理解していない、あるいは理解していてもそれをあえて実行していないところが多く、取締役の名簿には、専務取締役、常務取締役、取締役部長という名称がズラズラと並ぶ。執行側の上下関係がそのまま持ち込まれているため、本来の意味での取締役会は機能しない。

 社長以外はすべて社外役員で占めるという、いわゆる米国側のガバナンスとは異なるが、コーポレートガバナンスの本質的な意味をトヨタは理解しており、海外の投資家も十分に納得できる体制といえるだろう。

 - 経済 ,

  関連記事

tunisia
アラブの春においてチュニジアだけがうまくいく理由は?

 チュニジア制憲議会は1月26日、基本的人権の尊重、表現や信教の自由、男女平等を …

apple
アップルの4~6月期決算。中国向けiPhoneが引き続き堅調であることを確認

 米アップルは2014年7月22日、2014年4~6月期の決算を発表した。売上高 …

lottehoteru
ロッテグループのお家騒動で再び注目される、韓国の循環出資構造

 経営をめぐって創業家内部の争いが続いていたロッテホールディングスは2015年8 …

kakugi02
古い自民党に先祖返り。2013年度税制改正大綱に見るアベノミクスの真実

 政府は1月29日、2013年度税制改正大綱を閣議決定した。税制改正大綱は、国会 …

mama
子供がいると女性は不幸?内閣府の調査結果は日本社会の現状をよく表している

 内閣府経済社会総合研究所は、幸福度が子供の存在によってどのような影響を受けてい …

bukkajoushou
足元で東大物価指数が急上昇。急激な円安で消費者がとうとう値上げを受け入れ?

 足元で物価が再上昇する兆しが見えてきた。東京大学が中心となって作成した東大物価 …

merukeru03
ドイツの輸出超過に批判の声が高まる。だがこれはEUの自己矛盾を露呈しかねない

 好調な経済を背景に、欧州経済を支えてきたドイツに対して批判の声が高まっている。 …

plazuma
パナソニックが上海工場を閉鎖。ようやくプラズマから撤退を決断

 パナソニックが、中国・上海にあるプラズマテレビ組立工場を閉鎖する。すでに生産は …

euhonbu00
EUが中国製太陽光パネルに反ダンピング関税。保護主義への観測気球との見方も

 欧州連合(EU)の欧州委員会は5月8日、中国が欧州に太陽光パネルを不当に安く輸 …

sharp
シャープが最大1500億円の公募増資を実施。財務的な危機は脱することができるが・・・・

 経営再建中のシャープは9月18日、約1500億円の公募増資と175億円の第三者 …