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秘密主義から一転、株主との対話路線に舵を切った「謎の会社」ファナック

 

 産業用ロボット大手ファナックの株価が急騰している。2月初旬には2万円前後だった同社株は3月13日には一時2万7000円を突破し、上場来高値を更新した。
 同社は、超高収益企業として知られる一方、最低限の情報開示しかしない秘密のベールに包まれた会社だったが、株主との対話部署を設けるとの話が伝わり、株主還元策への期待が一気に高まった。

fanakku

 ファナックは産業用ロボットの分野では圧倒的な競争力を持っているが、その経営実態はほとんど知られていない。上場企業なので、定められた情報開示は行っているものの、それ以上の情報を積極的に株主に開示する姿勢は示してこなかったからである。本社や工場の多くが、富士山麓の深い森の中にあることも、同社の謎めいた雰囲気を増幅していたかもしれない。

 日本企業の中では突出した好業績として知られており、約4500億円の売上高に対して当期利益は約1000億円もある。また自己資本比率は約90%という驚異的な水準となっており、8000億円もの現金を保有している。
 同社は、連結ベースで当期純利益の30%の配当性向を維持するという基本方針を掲げており、前期もこの方針にしたがって1株あたり約185円の配当を実施した。絶対額としては大きいが株価も極めて高いことから、配当利回りは0.9%と低く抑えられている状況だ。

 ファナックに対しては、これまで海外投資家が株主還元策を実施するよう求める書簡などを送っていたが、同社は基本的に無反応であった。だが、今回は様子が違った。米国のモノ言う株主であるサード・ポイントは2015年2月、同社株を取得したことを表明し、定期的な自社株買いをするよう求める声明を出した。同社はこれに反応し、稲葉善治社長が株主との対話窓口を設置することや、株主還元を実行していく方針を明らかにした。

 従来の秘密主義から一転、株主との対話路線に転じたのは、6月に施行される東証の親ルールの影響が大きい。東証は企業による株主との対話を重視したコーポレートガバナンス・コードの導入を決定しており、企業は株主利益の向上にこれまで以上に取り組む必要が出てきている。透明性が低い企業は、公的年金をはじめとする機関投資家による売買の対象から外れてしまうリスクがある。

 もっとも、すでに同社株はかなりの高値となっており、ここから自社株買いで買い上がるというのはあまり現実的ではない。多くの投資家は増配を求めており、具体的な還元策も増配となる可能性が高い。
 秘密主義で知られた同社がオープンな姿勢に転じたことは、日本の株式市場が変わったことを海外の投資家に印象付けるひとつのきっかけとなるだろう。

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