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原油価格の下落で商社各社が損失。今後の事業ポートフォリオは?

 

 住友商事は2015年3月25日、2015年3月期の決算について、黒字予想から一転、850億円の赤字になるとの見通しを発表した。原油安にともなう資源価格の下落で、北米のシェールガス事業やブラジルの鉄鉱石事業で追加の減損を迫られた。

beikokuoil 同社は昨年9月、米国のシェールガス開発事業で1700億円、オーストラリアの石炭事業で700億円の損失を計上し、2015年3月期の純利益が100億円になるとの見通しを発表していた。しかし、同じシェールガス事業において300億円、ブラジルの鉄鉱石事業の見直しで650億円の減損が発生したことで、950億円の追加損失となった。このため、100億円の黒字予想から一転して850円の赤字予想となった。

 これらの追加損失は以前から予想されていたことであり、市場はあまり反応していない。丸紅も同様で、メキシコ湾や米国での原油・ガス開発事業で950億円の損失を計上する見込みである。穀物事業の損失などを加えると、合計の損失額は1600億円に達するが、大きな動揺は見られない。

 ここ10年、大手商社各社は資源ビジネスの比率を高めており、各社とも資源商社と揶揄される状況となっていた。資源ビジネスは市況に左右されるので、今回のような大幅な原油価格の下落が発生すると、損失が急に表面化するリスクがある。
 資源ビジネスも結局のところ、権益をいくらで買ったのかという「買い値」に左右される。その意味では、資源以外のビジネスと大きく異なるものではない。ただ、原油価格の下落は長期化するとの見方が有力なので、各社は今後、徐々に資源以外の分野を拡大させていく可能性が高いだろう。

 非資源分野の場合、大型の案件が少なく、効率が悪いという欠点がある。もともと資源分野が弱かった伊藤忠商事は、今年1月、タイの財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと共同で、中国の国有複合企業、中国中信集団(CITICグループ)の傘下企業に1兆2000億円出資すると発表した。伊藤忠の出資分は6000億円で、日本企業による中国投資としては最大規模である。

 CITICグループは、中国最大の国有企業であり、本格的に外部から出資を仰ぐのは今回が初めて。この案件は習近平国家主席が直接判断を下したといわれており、中国側もかなり力を入れている。伊藤忠としては、この超大型出資をテコに一気に中国ビジネスを展開したい意向だが、金額があまりにも大きいことや、中国企業の透明性が低いことなどから、市場での評価は今ひとつだ。

 資源分野と非資源分野のバランスをどう取っていくのか、しばらくの間、商社各社にとっては悩ましい日々が続くことになる。

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