ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

どこか胡散臭い言葉「絆」や「安心」に込められた本当の意味

 

 3.11の震災以降、世の中のあちこちで多用されている「絆」というキーワード。震災という未曾有の危機に際して、人的ネットワークを最大限活用して相互協力することは非常に大切なことである。
 だが時として「絆」という言葉が、特定の利権を維持するために他人に何かを強要することの正当化に使われているケースも多い。「絆」というキーワードが何か胡散臭いものに感じられることがあるのはそのためである。

 ところで日本では古くからの土着信仰として、言葉には不思議な魔力があると考えられてきた(民俗学的には言霊信仰という)。また真言仏教のように文字そのものを崇拝の対象とする宗派もある。インターネット時代に言葉や文字の霊力などナンセンスな話だが、「絆」というキーワードの使われ方を見ると、文字や言葉にはやはり魔力があるのでは?とも思えてくる。

 「絆」は通常、人と人との心のつながりといったニュアンスで使われているが、本来の意味は「動物をしばる綱」、「人を利害で束縛するもの」というネガティブなイメージの言葉だという。実際、漢字の本家本元中国では「絆」という字は非常にネガティブなニュアンスで使われている。現地に進出した日本企業が、中国人の顧客や従業員に対して「絆」を連発して顰蹙を買うという笑えない事例も多発しているらしい。

 同じような言葉に「安心・安全」というものもある。安全ならば安心に決まっているのに、なぜわざわざ安心というキーワードを使うのか?邪推をすると、安全でなくても安心があればよいと言い訳しているようにも聞こえる。
 特に公務員や政治家など、国民に対する責務を果たすことで金銭をもらっている人たちの口からこのキーワードが発せられることは大変由々しき事態である。国民に対して提供しなければならないのは「安全」であって「安心」ではない。原発事故で放射能が汚染が発生している状況で必要となるのは「安全」に関する情報だ。

 言霊信仰を信じる人にとっては、 「絆」や「安心」という言霊が、震災を利用して不当な利益を得たり、責任を逃れをしようとする人の邪悪な心を世に晒すために、自らの意志で人の口から出てきたということになるのだろうか?
 それは冗談としても、言葉のレトリックを使った責任逃れや不正な利益に対しては、国民は徹底的にチェックしなければならない。これだけは確かなことである。

 - 政治, 社会

  関連記事

jinkousinzo
体内埋め込み型の人工心臓が仏で臨床試験開始。実用化できれば画期的

 フランスの医療器具メーカーであるCarmat社は2013年12月20日、体内埋 …

no image
EUが金融取引税(トービン税)の導入を決定。欧州はルビコン川を渡ってしまった

 欧州連合(EU)は9日、ルクセンブルクで理事会を開き、金融取引税(いわゆるトー …

recruit02
新卒採用で成績を重視する企業が増加。採用基準が迷走する理由とは?

 企業の新卒採用における選考基準が再び迷走を始めている。人物本位に傾いてた採用基 …

no image
ミャンマーとの経済協力で日本は一歩リード。だが手放しでは喜べない

 民主化と経済開放が進みつつあるミャンマーとの経済協力について、日本が他国を一歩 …

rikokyoroise
米有力議員団が中国と韓国を相次いで訪問。従軍慰安婦問題が急浮上の可能性も

 米下院外交委員長のエドワード・ロイス議員を中心とした米議員団が中国と韓国を相次 …

shukinpei03
ウイグル独立運動とアルカイダを結ぶ点と線。中東問題に引きずり出される中国

 中国・北京の自動車爆破事件をきっかけに、中国はパキスタンとの対テロ連携の強化を …

hongkongdemo02
香港の民主化デモがすべての拠点で収束。3年後の長官選挙への影響は未知数

 香港の民主活動家や学生らが民主的な選挙を要求して行った抗議活動が収束した。20 …

touchou
フランスで政府要人の盗聴対策が効果を上げていない本当の理由とは?

 フランスで閣僚など政府要人のセキュリティ対策が効果を上げていないことが問題視さ …

chinacompany
経済援助型から企業M&Aへと変貌する中国の直接投資。日本はどう付き合う?

 これまで香港経由や途上国に偏重していた中国の直接投資が大きく変わろうとしている …

his
旅行大手HISが日本に絶望?タイを拠点に、新航空会社の設立を発表

 旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は4日、タイに航空子会社を設立し、日中韓 …