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公的年金がリスクの高いアクティブ運用にシフト。背景には何が?

 

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年4月1日、運用に関する中期目標を明らかにした。GPIFの株式シフトを受け、パッシブ運用中心だった基本方針を変更し、アクティブ運用と併用することが明記された。公的年金の運用のあり方はこれまでとは大きく変わることになる。

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 中期目標は、2015年4月から2010年3月までの5年間における運用の目標を定めたもの。今回の中期目標は、GPIFの本格的な株式シフトが決まってから、初めてとなることから、市場関係者が注目していた。

 従来の中期目標では、運用手法について「長期保有を前提としたインデックス運用等のパッシブ運用を中心とする」と明記されていたが、今回の中期目標では「原則としてパッシブ運用とアクティブ運用を併用すること」になり、「アクティブ運用に取り組むことにより超過収益の獲得を目指す」という内容が盛り込まれた。

 パッシブ運用とは、市場全体と同程度の運用成績を目指した運用手法のこと。運用担当者は能動的に動かず、日経平均に連動した商品などに投資を行うことになる。
 運用者の能力が入り込む余地がないためリスクは低いが、市場の上昇分を超える利益を手にすることはできない。また市場全体が下落すれば、その分、リターンもマイナスとなる。

 一方、アクティブ運用は、運用担当者が能動的に運用を行い、市場平均以上の収益を目指す手法である。うまくいけば、市場平均を超える利益を上げることができるが、場合によっては損失も大きくなる可能性がある。同じ株式投資の中で比べれば、ハイリスク・ハイリターンの投資ということになる。

 安倍政権の強い意向を受け、GPIFは国債中心の運用方針を変更し、株式へのシフトを進めている。背景にあるのは、年金財政の悪化である。

 現在、GPIFは137兆円ほどの資金を運用しているが、年金の徴収よりも給付の方が大きく、運用資金は毎年3兆円から4兆円ずつ減少している。この穴を埋めないと年金を維持することができず、高い利回りはこうした事情から逆算されているという側面がある。また証券業界から見れば、アクティブ運用に伴う高額な手数料は喉から手が出るほど欲しい。
 GPIFの運用手法をめぐっては、安易なアクティブ運用への切り換えに慎重な声もあったが、こうした事情が背景にあり、あまり議論されずに切り替えが進められてきた。

 当面は、巨大なファンドであるGPIF自身による買いで、株価は上昇する可能性が高い。ゆうちょ銀行の運用資金が大量に株式市場に投入されるとの観測もあり、しばらくは堅調が相場が続く可能性が高いだろう。

 だがアクティブ運用に想定外の損失はつきものである。現在のGPIFには損失を出した場合の責任の所在やその後の措置に関する明確なルールがない。運用手法の切り換えを進めるのであれば、損失が発しした場合の対応策も十分に固めておく必要があるだろう。

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