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自民党がエネルギーミックスについて提言。原発をめぐってとりあえず玉虫決着

 

 自民党は2015年4月、2030年時点における電源比率を定める「エネルギーミックス」に関する党の提言を政府に提出した。
 石炭や原子力などの「ベースロード電源」の比率を現在の40%から震災前の60%程度に引き上げるよう求めているが、その内容をめぐっては、党内から異論も出ている。具体的な数値に関しては、今後も駆け引きが続きそうだ。

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 政府では、2030年時点における電源比率を今年6月までに策定するとしている。「ベースロード電源」は、安価で安定的に発電できる電源とされているが、提言では、これについて、現在の40%から60%程度に引き上げるよう求めている。

 具体的には、石炭火力、水力、原子力が、このベースロード電源に含まれるが、これを震災前に戻すということは、原発の本格的な再稼働を意味していることは明白である。
 このため、党内で脱原発を主張するグループはこの提言に反対しており、提言内容をめぐって議論となった。

 当初は「安価で安定的に供給されるベースロード電源の比率を国際的に遜色ない水準となるよう6割程度を確保すること」という文言だった。
 だが、諸外国ではベースロード電源の比率が下がっているという指摘を受け、最終的には「欧米の多くの国で、漸減傾向にあるが現状6割以上となっているベースロード電源の比率について、わが国において国際的に遜色のない水準を確保すること」という形に落ち着いた。60%という数値は盛り込むものの、この数字は国際的には低下傾向にあるというニュアンスを付け加えた格好だ。

 当初の案は、これまで経済産業省が主張していた内容と近い。経産省はベースロード電源を60%以上とし、再生エネルギーについては20%台半ばにするという方針を示している。一方、温室効果ガス削減を推進する環境省は、再生可能エネルギーについて、全発電量の35%まで導入が可能という、経産省とは異なる試算を示している。
 ただ、この試算については、宮沢経済産業相が「実現可能性が十分に考慮されていない」と批判している。

 結局のところ、最終的な提言は、60%という数字は確保しつつも、文言のお遊びで脱原発派の意向を盛り込む形になっているが、そうなってしまう最大の理由は、今後のエネルギー政策をどうするのかという基本政策について合意が形成されていないからである。

 合意が形成されていないことを前提に、議論することと、数字と文言の調整で合意を得たことにするというのは、根本的に異なっている。エネルギー政策が国家のインフラであることを考えると、こうした形でしか議論が進まないことは、日本の利益を損なう結果となる可能性が高い。

 - 政治, 経済 ,

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