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上から目線?の「粛々と」、多用していたのは菅直人元首相

 

 沖縄の米軍普天間基地の移設問題をめぐり「粛々」という言葉が論争の的となっている。たかが「言葉」ではあるが、政治家は「言葉」を扱う仕事でもある。言葉を通じて見えてくる政治的風景もある。

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 事の発端は、2015年4月5日に行われた沖縄県の翁長知事と菅官房長官との初会談において、翁長知事が「粛々と」という言葉に関して「上から目線で、県民の心は離れ、怒りは増幅していく」と批判したことである。菅氏は「不快な思いを与えたとすれば、今後使わない」と述べている。
  ところが、その後、安倍首相は8日の参院予算委員会で、同問題についてやはり「粛々と進めている」と発言している。

 「粛々と」は、もともと静かにという意味だが、組織が外部からの声に動じることなく、秩序を保って物事を成し遂げていく、というニュアンスで使われることが多い。
 今回の件をそのままあてはめれば、「沖縄から反対の声が上がっても、聞く耳を持たず基地建設を進めていく」という意味になることから、翁長知事が強く反発したものと考えられる。
 一連の騒動には、揚げ足取りといった批判も聞かれるが、良くも悪くも、今回の勝負は、翁長知事の方が一枚上手だったといえるだろう。

 言葉の厳密な意味はともかく、この言葉には、面倒なことから逃れたいが、自身の権威は失いたくないという小役人的なイメージがどうしてもつきまとう。また過去の事例でも、政治家がこのキーワードを出すときには、説明に窮している場面が多い。

 粛々というという言葉を多用していたのは、菅直人元首相である。原発事故や尖閣諸島問題などもあり、トップへの負荷が過大だったという点は割り引く必要があるが、菅氏が国会答弁でこの言葉を使う頻度は突出していた。
 一方、小泉純一郎元首相のように、こうした小役人的なキーワードはほとんど使わない政治家もいる。

 菅官房長官は、政界の寝業師と呼ばれる人物であり、もともと、言葉を巧みに使って国民に訴えかけるタイプの政治家ではない。慎重な菅氏としてはちょっとした失言ということになるだろう。

 本来であれば、トップの安倍首相がカリスマ性を発揮して「言葉」で国民に語りかける必要があるわけだが、今回は、首相自らも同じ言葉を使ってしまい、官邸の連携プレーが成立しなかった。

 たかが言葉だが、されど言葉である。言葉ひとつで政治が決まってしまうこともあることを考えると、決して無視することができないファクターといえるだろう。

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