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シンガポールで深夜の飲酒が禁止。背景にあるのは外国人労働者問題

 

 シンガポールで4月1日から、午後10時半以降の屋外での飲酒を禁じる法律が施行された。シンガポールは公共の美観や秩序を重視する政策を採用しており、飲酒禁止もその一貫とされているが、背景には外国人労働者の問題があるといわれている。

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 法律施行後は、午後10時半以降の屋外での飲酒が禁止されるほか、スーパーやコンビニにおける販売も禁止となる。だが、レストランやバーの店内、あるいはマンションの敷地内は禁止対象となっていないので、それほど大きな影響はないといわれる。

 シンガポールは、故リー・クアンユー元首相の方針で強制的な「街の美化」が推進されてきた。落書きやビラ貼りは罰金か3年以下の禁固刑およびむち打ち刑が執行される。また水洗トイレの水を流さないと罰金が科せられるほか、ガムは持ち込みが禁止されている。

 基本的には街の美化が目的といわれているが、これらの罰則が存在しているのはそれだけが理由ではない。
 シンガポールは表面的には民主国家だが、現実には建国の父と呼ばれるリー・クアンユー氏とその一族による独裁国家であり、政府批判は弾圧の対象となる。落書きやビラ貼りが禁止されていることや、むち打ちというかなり残酷な刑が規定されているのは、本当の目的が政治活動の抑制だからである。

 今回の法律は、住民から騒音やごみの苦情が多く、暴力や犯罪につながる恐れがあるとして政府が法案を国会に提出、1月に賛成多数で可決された。だがこうした表面的な発表は額面通りには解釈しない方がよいだろう。

 シンガポール政府の発表によると、飲酒が原因とみられる暴動が47件、傷害事件が115件発生しており、その9割が午後10時半以降に集中している。だがこの法案を審議する最大のきっかけとなったのは、これらの事件の中に外国人労働者によるものが含まれていたことだといわれる。

 シンガポールは、単純労働に従事する外国人労働者を大量に受け入れているが、一時的な労働力であると明言しており、原則として永住は認めていない。女性の場合には妊娠が発覚すると、すぐに国外強制退去となる。
 こうした労働者に対する扱いについては、非人道的であるとして批判の声も出ているが、同国はこの政策を堅持する方針である。

 このところ、劣悪な環境に置かれた外国人労働者が待遇に不満を持つケースが出てきており、深夜の暴動のいくつかには移民が関係している。シンガポール政府としては、移民の不満が顕在化する前に、こうした措置で移民の活動を抑制しておきたいという思惑があると考えられる。

 シンガポールは、低付加価値労働は外国人労働者に任せ、自国民は付加価値の高い労働に従事するよう、半ば強制的な政策を推し進めてきた。その結果、日本をはるかに上回る豊かさを実現している。
 最近では同国の良好なビジネス環境に引かれ、同国に移住する日本人エリートも増えている。移民の暴動にシンガポール政府が神経を尖らせている現実を考えると、こうした同国の合理主義的な成長戦略もそろそろピークを迎えつつあるのかもしれない。

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