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ローマ法王がトルコによるアルメニア人殺害を批判。EU加盟はさらに絶望的に?

 

 カトリック教会のフランシスコ法王が、オスマン・トルコ帝国で多数のアルメニア人が殺害された事件について「ジェノサイド(大量虐殺)」と表現したことが波紋を呼んでいる。トルコ政府は激しく反発しているが、トルコのEU加盟問題に関連し、民主国家としての成熟性が問われているときだけに、この問題は尾を引きそうだ。

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 フランシスコ法王は2015年4月12日、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂で行われたミサにおいて、100年前に発生したオスマン・トルコによるアルメニア人虐殺について「20世紀最初のジェノサイドと広く認識されている」と述べた。
 トルコ政府は激しく反発しており、駐バチカン・トルコ大使を召還すると発表している。

 この事件は、100年前の1915年、現在のトルコの前身であるオスマン・トルコ帝国の少数派であったアルメニア人が、強制移住、虐殺などにより死亡したというもの。これについては様々な見解があるが、計画的なジェノサイド(大量虐殺)とする見方は根強い。トルコ政府は、一貫してオスマン帝国による組織的な関与は否定している。

 こうした問題は多くの国に存在しているものだが、今回の発言は欧州の政治力学に大きな影響を与える可能性がある。というのも、トルコはかねてからEU加盟を切望しているが、人権問題などが障害となり、いまだにEU加盟を実現できていないからである。

 ドイツやフランスは、エルドアン政権の汚職問題やデモへの暴力的な弾圧など、トルコの非民主的な側面を懸念しており、加盟になかなかゴーサインを出していない。
 欧州のキリスト教社会に絶大な影響力を持つカトリック教会が、トルコの未解決の歴史問題に言及したことで、トルコに対するイメージがさらに低下する可能性がある。
 フランシスコ法王は昨年11月にも、「EUはあまりにも官僚主義的になっている」と述べ、公務員の権限が肥大化し機能不全に陥っているEUの現状について批判している。

 今回の発言がトルコのEU加盟問題に影響を及ぼすことになれば、カトリック教会のEUに対する発言力はさらに強まることになる。
 この動きがEUのヨーロッパ的なものへの回帰を示すものなのかはまだ分からない。だがトルコのEU加盟が果たせないということになれば、EUの普遍的な理念は後退し、旧来のヨーロッパ主義が復活したとの印象がより強まることになるだろう。

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