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クリントン前国務長官が出馬表明。知名度抜群だが、政策面での不安も

 

 民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は2015年4月12日、インターネットのビデオ・メッセージを通じて2016年の大統領選挙への立候補を正式に表明した。民主党内では最有力候補とみなされており、もし当選すれば、米史上初の女性大統領となる。

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 クリントン氏は、圧倒的な知名度と国務長官としての実績があり、選挙資金も豊富といわれる。オバマ政権は民主党なので、次の選挙は共和党が有利となるが、人物面においては、党内の指名獲得競争はもちろんこと、対共和党という点でも優位に立てる可能性がある。

 だが政策面では、かなりの不安材料があるのも事実だ。立候補を表明したビデオ・メッセージは控えめな演出となっており、本人が登場するのはかなり後になってからである。
 それまでは、典型的な米国の中間層の人たちに加え、同性愛者やヒスパニック系など、マイノリティを多数登場させており、全体的にはリベラルなトーンとなっている。
 また人権問題に熱心であることや、国務長官時代に中国の人権問題に言及したことなどから、いわゆる人権外交を展開するのではないかとの見方もある。

 だがこうしたリベラルなスタンスは、必ずしも選挙戦で有利に働くとは限らない。オバマ政権のリベラルなスタンスを支持していた層からは引き続き支援を得られる可能性が高いものの、オバマ政権が不人気な政権であるのも事実だ。
 オバマ政権との違いを鮮明にできない場合、これがマイナスに作用する可能性もある。当然、共和党はこうした部分について執拗に攻撃してくるだろう。

 この状況は、実は間接的にクリントン氏が経験してきたことでもある。夫のビル・クリントン氏が大統領に就任した時がまさにそうであった。

 初期クリントン政権はリベラル色が強く、中国に対しても人権外交の展開を試みたもの、対中融和派からの反対が強く、結局外交方針を180度転換している。また、ヒラリー氏はファーストレディとして、国民皆保険制度の導入を推し進めたが、最終的にはこの政策を撤回した。

 ビル・クリントン氏は、風見鶏的なところがあり、良くも悪くも、その「軽さ」が真骨頂であったことから、政策の迷走は大きなダメージにはならなかった。
 だが、知的で多少傲慢なイメージのあるヒラリー氏の場合、そうはいかない可能性が高い。政策の迷走が選挙戦の致命傷になる可能性は十分にある。

 ちなみに、共和党では、ブッシュ元大統領の実弟ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も立候補を表明しているが、ブッシュ氏も同様のジレンマを抱えているといわれる。
 ブッシュ氏は中道だが、共和党の予備選で勝利するためには、保守派の得票がカギになる。圧倒的な知名度がありながら、政策面でのリスクを抱えると言う点では同じである。

 クリントン氏とブッシュ氏が抱える悩みは、民主党対共和党、リベラル対保守という単純な図式では割り切れなくなった米国社会の現状を反映しているといえるだろう。

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