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受給ギャップ拡大などインチキ。そもそも想定された需要など、もはや存在していない

 

 内閣府は15日、7~9月期の需給ギャップが4~6月期に比べて5兆円拡大して15兆円に達したと発表した。需給ギャップは、日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差のことを指す。現在の労働力や生産設備で理論的に生み出せるGDPに対して、現実のGDPがどの程度の水準なのかを示す指標。需給ギャップの差が大きいほど、需要が少なくデフレになりやすいことを意味している。需給ギャップがマイナスになるのはリーマン・ショックが起きた2008年以降、17四半期連続。

 要するに日本経済は本来達成できるはずのGDPに対して15兆円分も実績が少ないということである。リーマンショック以降この受給ギャップは、公共投資などの景気対策、日銀への緩和圧力、円高回避の為替介入など、ありとあらゆる経済、金融政策の理論的根拠となってきた。

 だが需給ギャップという指標に頼りすぎるのは実はたいへん危険なことである。受給ギャップには重大な欠点がある。それは過去のパターンしか踏襲できないという理論的限界である。

 GDPの理論値というとなにやら複雑で立派そうな雰囲気が漂うが、フタを開けてみればあっけないほど簡単だ。経済学においてGDPを決定する要素は、実は「人口」と「設備投資」の2つしかないのである。しかも設備投資は各年のGDPの一定割合が設備投資に回ると仮定するだけなので、厳密にはGDPを決める要素は「人口」しかない。つまり人口が増えている国はGDPが成長し、人口が減る国はGDPが減少する。ただそれだけのことである。 
 エコノミストや経済学者など、いわゆる「専門家」と称する人は、このことについて決して口にしない。難しい用語を並べ立てて、難しそうに見せているだけで実は小学生でもできる計算しかしていないということを覆い隠すためだ。

 もちろん現実はもう少し複雑だ。基本的にGPDは人口で決まるのだが、時として人口の伸び以上にGDPが成長することがある。もしそのような現象が観察されたら、その分は「技術革新」があったと後付けで解釈するとルール上決められている。
 日本はこれまで人口の伸び以上にGDPが成長してきたが、それは技術革新があったからだと後講釈で解釈されているのである。

 話を需給ギャップに戻すと、理論的なGDPというのは、過去と同様の技術革新が今後も続いたと「仮定」して、人口の伸びからGDPを推計するという方法がとられる。この数値をいじるのは簡単で、過去の技術革新がどの程度かという「仮定」を調整したり、GDPの何%が設備投資に回るのかと言う「仮定」を変更すればよい。

 日本は高度成長の時代は終わっており、過去と同じような技術革新が継続するなど、常識的に考えてあり得ない。だとすると、需給ギャップが拡大しているのではなく、過去の高度成長を前提に仮定された潜在GDPの数値がそもそも実現不可能と考える方が自然だ。需給ギャップなどもともと存在しておらず、現在の状態が目一杯というわけである。

 本来は実現できるはずのない「まぼろし」の数字を掲げ、不毛な経済対策を繰り返しているのだとしたら、これほどバカバカしい話はない。
 日本は今後さらに人口が減少し、GDPはますます低下していく。減少する人口を補って余りある経済成長を実現するには、画期的な水準の技術革新が必要となる。そのためには、日本の産業構造を根本的に入れ替えなければ実現は不可能だろう。それこそ、大企業などは一旦すべて解体し、全員が失業してゼロからやり直すくらいの覚悟が必要となる。

 日本人にその覚悟はあるだろうか?もしないのであれば、「まぼろし」のGDPを追い求めることなどやめて、率直に貧しくなっている現実を受け入れるべきである。

 - 政治, 経済

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