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今年の春闘も昨年に引き続き高い伸び。全体への波及効果はどのくらいか?

 

 経団連は2015年4月16日、2015年の春闘について1次集計を取りまとめた。ベースアップ(ベア)と定期昇給をあわせた賃上げ率は2.59%となり、17年ぶりの高い伸び率となった。最終的な集計の数字はこれよりも減少する可能性があるが、昨年に引き続き、大企業を中心に高い水準の賃上げが実現しそうである。

 kyuyomeisai02 調査は従業員500人以上の企業を対象に実施。自動車を中心に業績好調な製造業がベアに踏み切ったことで、全体の賃上げ水準の上昇につながった。製造業の平均は2.64%、非製造業の平均は2.06%であった。

 本来、賃金に関する交渉は労使間で行うものだが、現在の労働組合や財界は機能不全を起こしており、自律的な交渉ができない状態にある。
 政府は一昨年から、政府、経済団体、労働団体の代表らが、雇用や賃金について話し合う政労使会議を開催しており、政府が音頭を取って賃上げを企業に対して要請している。

 昨年末の会議では、一昨年と同様、合意文書がまとめられ、「経済界は、賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」と明記された。事実上の賃上げ確約であり、財界はこれに基づいて今年の春闘でも大幅な賃上げに踏み切った。

 ただ、政府からの要請を受け入れ、賃上げを行っているのは主に大企業である。労働者全体のうち、中小企業に所属している人は半数以上にのぼるため、大企業だけが賃上げを行っても、賃金全体はそう簡単には上昇しないのが現実だ。

 今年2月に厚労省が発表した毎月勤労統計では、2014年の所定内給与は前年比横ばいという結果だった。しかし、4月の最新の統計では、前年比マイナス0.4%に下方修正されている。大企業が2%以上の賃上げを行っても、やはり全体の賃金はマイナスであったことを考えると、今年の春闘がもたらす効果も限定的かもしれない。

 もっとも足元では別の動きもみられる。2月の非正規社員数は1974万人と、前年同月と比較して15万人の減少となる一方、正社員の数は58万人増加した。ここ数年、一貫して非正規社員の増加が続いてきたことを考えると、注目すべき傾向といえる。
 若年層を中心に企業の人手不足が深刻化していることから、正社員への転換を進めた企業が多かったと考えられる。

 正社員の給与は非正規よりも高いので、正社員化が進めば全体の賃金も上昇する可能性がある。ただ、企業としては人件費総額を抑制したいと考えるので、正社員が今後も増加すると、逆にこれが賃上げのブレーキになる可能性もある。

 全体的には明るさが見えてきているものの、労働者全体の賃金が上昇する状態になるまでには、まだ時間がかかるだろう。賃金上昇のカギとなるのが、深刻な若年層労働者の不足というのは何とも複雑である。

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