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日銀の審議委員人事。トヨタ出身者内定で、追加緩和の外堀埋まる?

 

 政府は2015年4月21日、退任する日銀の森本宜久審議委員の後任に、トヨタ自動車相談役の布野幸利氏を起用する人事案を提示した。
 代表的な輸出企業の出身者であることから、円安の進行に対して理解がある可能性が高く、量的緩和策がより進めやすくなったと市場は判断している。

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 日銀の金融政策は、同行の最高意思決定機関である政策委員会の決議を経て実施される。政策委員会は、総裁と2名の副総裁、6名の審議委員の合計9名で構成されている。

 昨年10月、追加の量的緩和策を決定した政策委員会では、賛成5名、反対4名というギリギリの決定となっていた。
 その後、追加緩和に賛成票を投じていた宮尾龍蔵審議委員の退任に伴い、量的緩和策に積極的と言われる原田泰早大教授が後任の審議委員に就任した。
 今回、退任する森本氏は、追加緩和には反対票を投じており、後任の布野氏が積極緩和派だった場合には、政策委員会の流れは一気に変わることになる。

 今回、就任する布野氏は実業界出身で、金融政策に対してどのような見解を持っているのかはまだ不明である。ただ、トヨタ自動車という、日本最大の輸出企業の人材であることを考えると、円安の進展に対して理解がある可能性が高い。
 また、政治的に非常に微妙な時期において、実業界出身の審議委員が、金融政策について独自の主張を貫く可能性は少なく、基本的には黒田総裁の緩和路線に賛成する可能性が高いだろう。

 そうなってくると、政策委員会の中で、量的緩和策に慎重なスタンスを明確にしているのは、野村證券出身の木内登英氏のみということになり、仮に追加緩和の提案が出た場合には、問題なく可決となる可能性が高くなってきた。

 今回の人事についても、前回の原田氏と同様、量的緩和に積極的という観点から、官邸主導で行われたといわれている。

 もっとも、現在の日銀は、追加緩和をめぐって内部の意見統一に腐心するという段階は過ぎている。今回の人事は、追加緩和を促す官邸からのメッセージということになるだろう。
 目標とする2年の期限は刻々と迫っており、最終的には黒田総裁の判断にすべてがかかっている状態だ。

 - 政治, 経済 , ,

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