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仏経済の赤信号がきっかけ?タブーだったラテンvsゲルマンの民族対立が表面化

 

 英国の有力経済誌エコノミストが、フランス経済を「欧州の時限爆弾」とするセンセーショナルな特集記事をブチ上げた。フランス当局は「誇張報道」であると強く批判しているが、ギリシア、スペインに続いて、とうとう市場が欧州危機の本命であるフランスをターゲットに定め始めたのではないかとの観測が出てきている。

 エコノミストの記事は、フランスの硬直化した労働市場、肥大化した政府と公務員の多さ、重い社会保障負担などが、フランス企業の競争力を著しく低下させていると主張。このままでは金融市場がフランスをターゲットにする可能性を否定できず、フランスがユーロという単一通貨維持にとって最大の脅威になっていると指摘している。
 エコノミスト最新号の表紙は、バゲット(フランスパン)をダイナマイトに見立て、すでに導火線に火がついているというもので、フランスが欧州の時限爆弾であることを強調した内容だ。

 実際フランス経済の現状はかなり厳しい。フランスの労働コストは欧州の中でも著しく高いことで知られており、ドイツと比べると実質的に1.5倍以上ともいわれる。フランス企業は次々と工場を国外に移転させており、日本と同様、貿易赤字が完全に定着している。

 企業から庶民への富の分配を公約に掲げて当選したオランド大統領だが、フランス経済のあまりの惨状に、就任半年で180度政策を転換、企業の社会保障負担を削減する代わりに、日本の消費税に相当する付加価値税の増税を決定した(本誌記事「仏オランド政権が政策を180度転換。企業優遇と福祉削減にとうとう舵を切った!」参照)。またバカ高い税金を嫌って富裕層の資産国外流出も続いている(本誌記事「ルイヴィトンのオーナーが課税強化を嫌ってベルギー国籍を取得」参照)。

 フランス当局は「根拠のない誇張報道」としてこれを批判し、フランスのマスコミもこぞって「英国はフランスをうらやましがっているだけ」といったトーンでの報道を行っている。だが市場の反応は冷ややかだ。「来るべきものが来た」(欧州系為替ディーラー)との声がほとんどであり、フランス国債がマーケットで叩き売られる事態をすでに織り込み始めた。

 欧州問題はこれまでギリシアやスペインなど一部の国家が全体の足を引っ張っているという構図にカモフラージュされてきたが、現実は違う。
 堕落したラテン諸国(仏、伊、スペイン、ポルトガル)とストイックなゲルマン諸国(ドイツ、オランダ、北欧)の民族対立という決定的な問題を抱えているのである。歴史的な経緯からラテン圏とゲルマン圏の民族対立はある種のタブーとされてきた。だが欧州危機の「本命」であるフランスに市場の注目が集まってきたことで、覆い隠されてきた真実が浮き彫りなっただけの話である。

 もっともフランスの経済危機が表面化したことによってユーロが崩壊すると見る向きは少ない。なんといってもEUとユーロの最大の受益者はドイツをはじめとするゲルマン諸国であり、最終的にはゲルマン諸国の負担と通貨ユーロの減価によって全体がカバーされる公算が大きいからだ。

 欧州系銀行のある関係者はさらに一歩進んだ見方として、次のようなコメントを披露している。「本丸であったフランスの危機が表面化することで欧州危機はようやく収束への道筋がつく。次に市場のターゲットになるのは、いよいよ日本である」。
 確かに、過大な政府債務、肥大化した公務員、高い労働コストなど、エコノミスト誌が指摘するフランスの問題点はすべて日本にあてはまっている。予測が当たらないことを祈るばかりだ。

 - 政治, 経済

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