ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

絶妙だったイエレンFRB議長の株高発言。金利引き上げタイミングは中立になった

 

 米FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は2015年5月6日、米国株式市場の株価について「かなり高い水準」にあると指摘した。中央銀行の総裁が株価水準に直接言及することは非常に珍しく、その真意をめぐって市場では様々な憶測が流れている。

ieren201409

 イエレン議長の発言が出てきたのは、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事との対談の最中。ゼロ金利に関する話題の中での発言であったことや、発言の場所などを考えると、偶発的ではなく、あらかじめ意図したものである可能性が高い。

 米国の株式市場は低金利に支えられ高騰が続いているが、一般的に解釈すれば、相場の過熱に対してイエレン氏が警鐘を鳴らしたということになる。
 確かに現在の相場は、低金利による過剰流動性に支えられているという面があるが、PER(株価収益率)など、業績面から見るとそれほどの割高感はない。実際、イエレン氏もそのような主旨の発言を行っている。

 ということになると、イエレン氏の発言の真意は別のところにあるという解釈になる。市場関係者の一部は、やはり利上げが近いのではないかと推測している。
 米国の景気は順調に回復しているものの、足元では鈍化の兆候も見られるようになってきた。もし米国の景気が踊り場に差し掛かっているのだとすると、金利引き上げを見送った場合、次のタイミングを見計らうのがさらに難しくなる。

 株式市場への影響が多少大きくても、今のうちに金利を正常化しておいた方がよいという判断をイエレン氏が下していても不思議ではない。
 6月あるいは9月という早期利上げに踏み切った場合、株式市場には確実にマイナスの影響があるが、割高発言を行っておくことで、ある程度の地ならしをしておこうという目論見である。

 もっとも、厳冬など特殊要因が大きいとはいえ、1~3月期のGDP(国内総生産)はプラス0.2%と急低下しており、市場では緩和継続を望む声が大きい。3月の雇用統計の数字が悪かったこともこれを後押ししている。

 イエレン氏の発言が早期利上げを意図したものではないにせよ、少なくともFRBは当面のフリーハンドを確保したことは間違いない。指標の悪化で後ズレすると思われた金利引き上げは、少なくとも中立的な状況に戻ったといえるだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

bouekikontena
10~12月GDPはプラス1%。個人消費は横ばいで、状況は大きく変わらず

 内閣府は2017年2月13日、2016年10~12月期のGDP(国内総生産)速 …

intelbaytrail
売上減に歯止めがかかった米インテル。次はいよいよスマホ市場を攻略?

 半導体世界最大手の米インテルは10月15日、7~9月期の決算を発表した。売上高 …

keizaikakusa
景気が良くなるほど、経済格差が拡大するという不都合な真実

 貧困の撲滅活動を行う国際NGO「オックスファム」は2014年1月20日、経済格 …

euro02
キプロスが早くも資金不足。だがEUの官僚たちはそんなことは百も承知?

 総額100億ユーロ(約1兆3000億円)にのぼるユーロ圏からの支援が決定してい …

ieren02
米FRB、イエレン新体制が始動。大きな障害はないが、新副総裁との関係だけは微妙

 米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)の新しい議長にジャネット・イ …

kaikotokku
解雇特区は雇用政策というよりも、ベンチャーや外資の優遇策である

 安倍政権は成長戦略の目玉の一つである解雇特区の導入に向けて本格的な検討を開始し …

setubitousi
GDP改定値は下方修正。ただ、暦年の数字はほとんど変わらずゼロ成長が確定

 内閣府は2015年3月9日、2014年10~12月期のGDP(国内総生産)改定 …

gnpgni
安倍首相がGNI(国民総所得)増加を表明。なぜ今GNIと騒いでいるのか?

 安倍首相が自らの経済政策であるアベノミクスによって、10年後に国民総所得(GN …

nyse
ダウの高値更新でバブル論。だが、米国がバブルだというなら、日本はもっとバブルだ!

 3月6日のニューヨーク株式市場は、前日に続いて史上最高値を更新した。雇用指標が …

ginkou
全銀協が24時間振り込みに対応する方針。最終的なライバルはビットコイン?

 銀行業界が振り込みの24時間対応に向けて動き始めた。もし実現すれば、15時で当 …