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大手企業が相次いでTV通販業界を侵食。背景にはガラパゴス大企業の甘えが・・・

 

 これまで地方に拠点を置く企業が中心となっていたテレビ通販業界に、著名な大手企業が相次いで進出している。

 サントリーが2001年から自社の健康食品である「セサミン」の通信販売を開始し、テレビ通販へも積極的に乗り出したのを皮切りに、現在では味の素、カルピス、ハウス食品、明治製菓、森永製菓などの食品大手に加えて、ライオンや富士フィルムなど生活、化学メーカーの進出も目立つ。

 TV通販が急拡大している背景には、既存の販売ルートによるセールスが頭打ちになっていることや、チャネル数の増加によって放送枠、CM枠の価格が低下していることなどがあげられる。2000年前後には1000億円だった市場規模は年々拡大し、現在では5000億円を超える規模となっている。

 だがこれまでテレビ通販といえば、地方に拠点を置く中堅中小企業が主なプレーヤーであった。しかも扱われている商品のほとんどがサプリメントなどの特殊商品であり、いわばニッチ市場だ。このような市場に著名な大企業がこぞって参加している現状に、市場からは疑問の声も出ている。

 長期の不況と人口減少のダブルパンチとなっている日本の消費市場は年々縮小している。このような状況において大企業は、本来であればグローバル戦略を加速させ、海外での収益を拡大させなければならない。そうしなければ、投資家からの高い収益要求に応えることはできないからである。国内のニッチ市場に進出することは、収益拡大の抜本的な解決策にはならないのである。

 だが日本の食品大手や生活用品大手のグローバル展開は進んでいない。例えば食品の世界的大手であるネスレの売上げは約7.5兆円だが、こういった企業と比較した日本企業の規模はあまりにも小さい。サントリーの売上げは約1兆8000億円、味の素は約1兆2000億円、森永製菓に至っては1500億円とお話にならないレベルだ。

 グローバルな規模拡大を目指さず、ニッチな通販市場に進出して満足しているという現状は、日本というガラパゴスな安全地帯でお茶を濁していればそれでよいという甘えにも映る。
 日本では投資家による企業ガバナンスが成立しておらず、大企業が低収益のままでも市場からノーを突きつけられることがない。このことは得られるはずの税収が失われていることを意味しており、国家全体で見れば巨額の損失である。また、本来中小企業やベンチャー企業が活躍すべき市場を大企業が侵食してしまうことで、経済全体の活気も失われてしまう。

 サプリメント市場への大企業の相次ぐ進出は、閉塞感が漂い、将来がまったく見通せない日本経済の現状をよく表している出来事といえるだろう。
 だが、ぬるま湯につかり高給を食むこれら大企業の経営者を批判することはスジ違いである。日本人の多くは株式投資を敬遠し、企業に対して利益の拡大を要求するチャンスを自ら放棄している。それどころか「モノ言う株主」を犯罪者扱いする社会風土だ。外部から強く求められなければ経営者が堕落するのはむしろ当たり前である。経済の閉塞感は日本人自身が招いたものなのである。

 - 社会, 経済

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