ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

政府の財政健全化計画。増税は封印し、高い経済成長に依存するプランへ

 

 財政健全化計画策定に向けた政府内の議論が活発になっている。安倍首相は2015年5月12日に開催された経済財政諮問会議に出席し、6月末までに計画を取りまとめるよう指示した。経済成長を前提にした歳入増によって収支を改善させる方向性だが、一層の歳出削減は不可避だ。 abe20150512

 財政健全化計画は、同日の会合で民間議員が提示した論点整理が土台となる。論点整理には、実質で2%、名目で3%程度を上回る経済成長を前提にすることが盛り込まれた。実質2%、名目3%という数値は、内閣府が作成した試算における経済再生ケースに相当するものであり、かなり難易度の高いものである。

 だがこの経済成長を実現した場合でも、2020年度には9.4兆円の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が見込まれる。これを解消するためには、税収を増やすか歳出を抑制するしかない。
 消費税を10%以上に増税するプランは盛り込まれておらず、基本的に消費税は10%で打ち止めとなっている。論点整理では、労働需給がタイト化することによる賃金の上昇、公的部門の産業化による課税ベースの拡大、マイナンバー制度による徴税の最適化などによって、税収増を実現するとしている。一方、歳出の削減については、社会保障改革などを列挙した。

 ただ現実には、課税ベースの拡大などで歳入を増やすというのは困難であり、社会保障費の抑制で歳出を削減する方向性を模索することになるだろう。
 財務省の財政制度等審議会では、社会保障費の伸びを、高齢化による自然増の範囲に収めるという方向性で議論が進められている。確かに、ここ数年の社会保障費の伸びを維持することができれば、相対的な歳出の抑制は可能かもしれない。

 また、内閣府の試算は、税収を低く見積もる傾向があり、現実に2%成長が実現できた場合には、想定よりも税収が多くなる可能性がある。これらがうまく作用すれば、財政再建の道筋も見えてくるかもしれない。

 いずれにしても、実質2%成長を実現することがカギとなっており、日本の財政再建は基本的に経済成長に大きく依存することとなった。これが、退路を断った勇気ある決断なのか、追い込まれた末の決断なのかは、今後の成果が示すことになるだろう。

 - 政治, 経済 ,

  関連記事

paris
フランスで規制改革法案を大統領が強行採択。規制でがんじがらめの姿はまさに日本

 フランスで規制緩和の法案をめぐって議会が紛糾している。オランド大統領が提出した …

bouekitoukei 201504
4月の貿易赤字は少額。ただ、為替が動き始めており状況は流動的

 財務省は2015年5月25日、4月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を差し …

gaikokujin
訪日外国人1000万人時代が到来。だが日本は本当に観光立国を目指しているのか?

 政府観光局は2014年1月17日、2013年の訪日外国人数が1036万人だった …

asohadaijin201406
麻生大臣による「守銭奴」発言。表現は下品だが、本質を突いている

 麻生財務大臣は2015年1月5日、日本企業が内部留保を蓄積していることについて …

toshibakojo
東芝の債務超過が確定。だが、この期に及んでも正式な決算は発表できず

 東芝が債務超過に陥っていることがほぼ確定的な状況となった。唯一の大型収益事業で …

no image
財務省の調査で地方公務員の厚遇ぶりが明らかに。だが問題の本質はそこではない。

 地方公務員の平均給与が国家公務員を6.9%上回っていることが財務省の調査で明ら …

tokyowan
7~9月期のGDPは市場予想通り大幅減速。ますます高まる公共事業への依存体質

 内閣府が11月14日に発表した2013年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値 …

ouki
中国外相に温家宝首相に近い王毅氏が内定。日中関係への影響は?

 中国の次期外交部長(外務大臣)に、駐日大使の経験のある王毅・国務院台湾事務弁公 …

mof02
与党が所得税と相続税の税率引き上げで合意。これは将来の大増税への布石となる!

 自民、公明の両党は、所得税と相続税の最高税率の引き上げについて合意した。また相 …

mof05
2016年度予算の概算要求はさらに大型化。財務省は前年度並みに減額したいところだが

 財務省は2015年9月4日、2016年度予算の概算要求額を公表した。一般会計は …